第115話  新たなガチャ玉

 な、なあ……サラ。このガチャ玉って何だと思う?

『大河さんのイメージした変換玉をそのまま申請したんですが、却下されたんですよ。それで一部イメージに修正を加えたんですが……とんでもない物を創造しようとしてたんですね。ログを確認して冷や汗かきました!』

 んえ? ログを確認って、サラはあの申請中の記憶無いの?

『ええ、申請時は私個人の思惑や感情などの余計な情報が入り込まないように、大脳の機能のほとんどを停止しています。代わりに私の脳内に埋め込まれている輪廻システムの人口頭脳と端末によって機械的に通信が行われています。なので、覚えてないんですよ』

 ふ~ん……良く言う人間の大脳はその性能を10%ぐらいしか使ってないってやつかな。残りの90%がその人口頭脳と端末になってるとかなん?

『いや、それは嘘というか古い学説ですからね。間違った知識で漫画とか小説とかによく取り上げられてますけど。実際、大脳のほとんどはグリア細胞と言われる細胞が占めてますけど、この細胞自体も色々な受容体の発現が確認されてますし、ほぼ全域で脳は活動しています。神経の情報伝達シグナルも神経細胞だけではなく、グリア細胞の一部が……』

 分った分った! 大脳はちゃんと全部使われてるって認識で良いのね。専門的な事言われても分かんないんで、いいです。

『そうですか。地球では某北の大国が使ってない大脳機能を活性化させて、超能力開発が出来ないかと、人体実験を過去にしていたとかいう話もあるんですけどね』

 何それ、ちょっと面白そう!

『信じるか信じないかはあなた次第です!』

 都市伝説かよ!


 おふざけはここまでにして、このガチャ玉だよ。真っ黒なのが10個、白黒マーブル模様が10個、合計20個もあるんだけど。

 この変なのは一体何なの?

『え~ちょっと管理局に確認してみますので、お待ちください……Now Loading……Now Loading……Now Loading……』

 通信速度遅せーな。情報量が多いのか、サラの性能が悪いのか……性能だろうな。

 このまま落ちたりして、ぷぷっ。

『失礼ですね! 今回の創造に関しての問題点を割り出してたんですよ!』

 ほうほう、それで?

『大河さんのイメージですと、新しい宇宙が創れるほどの内容だったらしくて、却下されたとの事です』

 いや、俺そんな大それたイメージしてないけど。

『さあ、そう言われてもそうだったとしか言いようがありません。それでそのイメージをダウングレードしたものが、その黒いのとマーブル模様みたいです』

 ほむ。

『黒い変換玉は、今までの光の弱い物の4倍ほどエネルギーが必要です。マーブル模様は2倍ですね。もうこの世界の物理法則も文化との整合性も無視して何でもありになると思いますよ。これで完璧な俺TUEEEE出来ますね!』

 いや、そこまでするつもりはないけど。これで恐怖の大王に対抗できるかな?

『どうでしょうか? 恐怖の大王の詳細が不明なので何とも言えませんね』

 そっかあ。まあ、その時に慌てない様に、小さなことからコツコツと……。

『き〇し師匠の座右の銘ですか!』

 そう言う訳じゃ無いけど、何が正解かわからないじゃん。

『男には危険をかえりみず、死ぬと分かっていても戦わなければならない時がある。負けると分かっていても戦わなければならない時がある』

 お前は、ハ〇ロックかよ! てか、格好いいセリフだよな!

『少年の日が、2度と帰らないように、童貞もまた、去って帰らない。……そして 少年は大人になる』

 おお! 映画版のさよなら銀河の鉄道の9が3つか! あれは泣けたなあ~! 歌も良いんだよな~! 何度見ても涙が……って、童貞はどーでもいいわ!

『そこが一番大事です! 一度でも使ったら、童貞じゃありません!』

 ……そらそうだけど。


 このガチャ玉はまた今度使うとして、取りあえず今夜は寝よう。もうねぶい。

『ささ、ではベッドにどうぞ。もう私の股間は準備万端です!』

 いいから出てけー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る