第110話 銀、黒、蒼
ナディア、3人用の特殊な妖精は別途エネルギーを補充して作るから、君の配下として自由に造っていいからね。
『了解しました、マスター。現状でもベーシックな妖精を数百体は創る事が出来ますが、可能であればエネルギーの補充をお願いできませんでしょうか?』
ああ、うん。僕の我儘で……いや婚約者達の我儘かな? で、創るんだから、そこは気にしないで良いよ。ちゃんと補充しておくから。
さてと、3人用の特殊な妖精の仕様を生命の樹に……どうやって伝えればいいんだっけ? 設計はしてるけど……何々、生命の樹にエネルギーを注入する時に、ナディアを通して設計した時のイメージを送り込むのね。
んじゃ、イメージするからお願いしまふ。
ベースは基本的な妖精だけど、見た目と大きさを変えてて、ちょこっとだけ身体能力向上させてて、防御と攻撃出が来る様にしてある設計時のイメージを思い出して、イメージし直してっと……んじゃこれでお願いね。
ナディアに一言断ってから、生命の樹に近づき祈りを奉げる振りをしながら、エネルギーを注ぎ込んだ。
注ぎ込むって表現をしたけど、ナディアを通して、生命の樹に『あっちの(別設計の)妖精を創りたいんで、必要なエネルギー吸ってね』って感じだけど。
「おい……トールヴァルド、大丈夫なのか?」
父さん何を言ってるんだ? ああ、俺の体が光ってるな。
エネルギーの瞬間放出量が多いと発光するのかな? 良くわからんけど。
「大丈夫だよ。ネス様からお言葉を賜ってたところ」
はい、もちろん嘘でございます。
こっそり横目で妖精さんと戯れるコルネちゃんを見て、癒されてたりします。
うんうん、ナディアに甘えてるね! 姉が出来た感じなのかな?
俺が領主になって家を出ちゃってから、この家には子供がコルネちゃんだけだったもんね。
近くに子供も住んでるけど、やっぱり領主の息女となると、なかなか気軽に遊べる友達もいなかっただろうから、寂しかったのかもしれない……可哀相な事をした。
遊び相手は、モフリーナが譲ってくれた猫又の魔物のクロちゃんだけだったし。
人間じゃ無くて申し訳ないけど、これからも妖精さんは増える予定だから、寂しくないと思うけど。
『そうでしたか。私がコルネリア様と共に常にいます。これからは寂しい思いはさせませんので、ご安心ください』
本当、ナディアは頼りになるよ。お願いね。
でも仮の姉じゃなく、実のお兄ちゃんはここにいるんだから、存分に甘えて欲しいぞ! お兄ちゃんを忘れちゃだめだぞ、妹よ!
家族や婚約者~ず、使用人達が見守る中、俺の身体の光が収まると、やがて生命の樹からにじみ出る様に3人の少女が現れた。
鳥の様な真っ白な翼を6枚、背中から腰にかけて持ち、あのエネルギーの詰まった水晶を小さな角の形で頭部に2本持つ、中学1、2年生ぐらいの三つ子の様にそっくりな顔の少女達。
デザインのイメージは、地球で言うところの熾天使だけど、少女にしてみた。
地球の某宗教と被ると問題が有るので、頭部に小さな角を付ける事で問題を回避。
3人の違いは、ストレートでセミロングの髪の毛の色で、銀、黒、蒼で3人は見分ける事が出来る。
彼女達は、俺の婚約者~ずの側仕えとなるべく生み出された妖精の亜種。
ナディアほど高性能ではないが、婚約者達と共に成長(身体は変化しないが)していくAI機能と、シールド発生装置を搭載した婚約者専属メイド(?)さん。
お揃いの長袍っていう中国のカンフー映画に出てくる拳法家が着ている裾の長い袍って服がモデル。動きやすいように、また飛んだり跳ねたりした時に下着が見えないように、ちゃんとズボンをはいてます。そう言えばキョンシーも着てたっけ。
天鬼族の3人は、キョンシーよりやっぱり功夫映画が近いな。
いや、ストリー〇ファイターの春〇の服を大人しくした感じの服装だから、スピニ〇グバードキックとかしそうだけど。
『『『お任せください! マスターの記憶から技をインストールしました!』』』
マジっすか! 3人ともすげえな!
『マスターの持つ空手という武技に関しても、私を含め3人には既にインストール後、最適化しております。ですので、マスターの指導のお手間もございません。ご安心ください』
ナディア、優秀すぐる!
それぞれ髪の色と同色の服を着て、しずしずと俺の前にやって来た。
さあ、みんなに紹介しよう! 名前も担当も決めている。
「彼女達がネス様の眷属の天鬼族だよ。銀の髪が‟空のアーフェン”でメリル専属、黒い髪が‟大地のアーデ”でミレーラ専属、蒼い髪が‟海のアーム”でミルシェ専属だ。さあ、挨拶をして」
皆が見守る中、アーフェン、アーデ、アームの3人は、それぞれ担当する婚約者の前に進み出ると、にこやかに挨拶を交わし会話をはじめた。
メリル、ミルシェ、ミレーラの3人は、ネスの眷属ときいてちょっとビビってたみたいだけど、話をするうちに打ち解けてきた感じ。
この世界では珍しい黒髪同士のミレーラとアーデは、すごく仲良くなってくれたみたい。
ミルシェは……最近まで使用人だったから、自分専属の側仕えって言われてもピンと来ないのかな? 遠慮しちゃってるな。
メリルは……多少の遠慮は有るみたいだけど、ちゃんと打ち解けてるね。
「これからは、アーフェン、アーデ、アームが君たちを常に護衛してくれるから。3人とも仲良くしてね」
「「「はい!」」」 『『『お任せください、マスター!』』』
うんうん、メリル、ミルシェ、ミレーラもいいお返事です。アーフェン、アーデ、アームも任せたよ。
『あれ? 婚約者トリオには、私が付いてるはずですが?』
サラはクビ!
『何でですかー!』
お前、夜な夜なエロイ知識を3人に吹き込んでるだろ?
『ギクッ!』
余計な事するから、お前は便所掃除係に降格!
『だってー! 初夜の時にちゃんと大河さんと子作り出来る様にしなきゃだめでしょー!』
それが余計だってんだよ!
『大丈夫です! ちゃんと大河さん秘蔵の官能小説で説明してますから! 兄×妹物で!』
バカヤロー! なんて物を見せてるんだ!
『初夜の時は、「優しくしてね、お兄ちゃん……」って、言ってくれますよ?』
ぎゃーーーーーーー!! 隠してたのに隠してたのにーーーー!!
『私に隠し事は無駄です、エッヘン!』
もう……お婿に行けない……。
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