第102話  念話

 まあ、何とか皆が納得出来る様な説得(騙す?)が出来た様で、暫く話があるので二人きりにして欲しい旨を伝えると、おとなしく部屋から出て行ってくれた。

 別にこれといって話は無いんだけど、疲れちゃったんで1人になりたかったんだ。

 ナディアは側に居るけど、まあ大人しいので気にならない。

 あの3人には、あとで色々とフォローが必要だろうけどな。

 俺の精神が持てばいいけど……ハーレム物の主人公とか、本当にタフだよな。


 3人じゃハーレムと言わないかもしれないけど、たった3人でこのストレスなのに、5人も10人も欲しがる奴って、頭のネジが緩んでる……いや外れてると思う。

 あの徳川家康も正室・側室合わせて20人以上いたって話だし、それ以外にも数多くの女を囲っていたとか何とか……夜のお勤めのローテーションとか大変だろうな。

 本当に全員愛してたんだろうか? いや、愛なんて関係ない時代かもしれない。

 俺は、ちゃんと愛したいし愛されたいんだよ。

 だから1人でよかったのに……まあ、政治的なしがらみもあるから、ここまでは受け入れるし、愛する努力はするけど……俺がどう思われてるのかが気になるなあ。


 損得や政治絡みだけで嫁に来て、愛してくれない妻はいらないんだよねえ。

 3人とも美少女だけど、俺が求めているのはそうじゃないんだ!

 そう、愛なんだよ! 愛こそが全て!

『何、青い事言ってんですか。国がどうぞお食べくださいって、さし出して来てんですから、据え膳食っちゃえばいいんですよ! 今なら私も付いてきますから!』

 そうなんだけどなあ……まあ、俺の心の問題なんだけどさ。

 あ、そうそうおまけのサラはいらないので。

『何でですかー!』 

 だって、お前って面倒くさいもん。


 あっそうだ、この屋敷の中でさえこれだけカオスになったのに、どうやってコルネちゃん専属のお付きにするか考えてなかった。

 何かいい口実無いかなあ……。


『マスター。私が愚考するに、コルネリア様がネスの巫女に指名された事にすれば良いのではないでしょうか?』

 うぉ! びっくりした!ナディアの声って、念話で聞いても涼やかで綺麗な声だ!

『お褒め頂きありがとうございます。これも全てマスターのお力に因るものです。それで、先の案で如何でしょうか。私もそれなりに振る舞う事も出来るかと存じます』

 うん、いいね! さすがはナディアだ。

 ずっと念話は出来の悪いサラっていうナビのエロ話ばっかりだったけど、ナディアの様な堅実で建設的な話が出来るって素晴らしい。

 これからも僕の心の支えになって欲しい。

『お任せください、マスター。全てはマスターの御心のままに』

 うん。よろしくお願いし『ちょ~~~っと、まった~~~!!』……。

『マスター、サラから【ちょっと待ったコール】が入りました』 

 ナディア……ねる〇ん紅鯨〇知ってたの?

 え、俺の記憶を読んだの? こういう時のツッコミやボケも覚える必要がある?

 何で? 俺の過去の記憶から、ネタに反応するのは必然だと判断した?

 まあいいけど……。


 それで、サラは何のちょっと待った?

『今は念話のフリータイムみたいですが、何でツーショットしてるんですか! しかもタカち〇~んチェック! もしないうちに告白タイムとは何事ですか!』

 だって、もうナディア一択だもん。

『私にもアピールタイム下さい!』

 まあ、いいけど。

『私はカウンセラー的な仕事をしていましてぇ~、一緒になれば、あなたのお悩みにエロエロと相談に乗る事が出来ますぅ~。主に性のお悩み解決が得意ですぅ~』

 ハイ、アピールタイム終了。告白タイム。

「ナディアさん、初めて見た時から決めてました。よろしくお願いします!」

 俺はもちろんナディア一択!

『こちらこそよろしくお願いします、マスター』

 そうだろう、そうだろう。

『がーーん! 大どんでん返し! は?』

 ある訳ないだろ、サラ。

『うわーーーーーん!』

 お? 海にでも飛び込むのか? いってらっさ~い!


『マスター。差し出口かもしれませんが、サラは思考や言動がエロ方面に偏っているのと行動理念は残念ですが、実務能力だけは有能であると思います。そこまで冷たく接するのは、今後のマスターの創造に障りがあるのではないでしょうか?』

 ん? ああ、これは単なる恒例行事だから気にしないで。

 単に遊んでるだけで、別にサラが・・無能だとか使えないクズだとか輪廻転生局のお荷物だとか実は足が臭いだとか夜な夜なエロ妄想をしてゴニョゴニョしてるとか将来妖艶なボンキュッボンの女性になる事を夢見てるとか、思って無いから。

『無能? クズ? お荷物? あ、足が臭い!? 何で私の夜のお楽しみタイムを!? ないすばでぃを夢見たっていいじゃないですか! って、何で大河さんがそんな事まで知ってるんですか!?』

 な、帰ってきたろ。心配は不要だよ。

『さすがはマスター……サラの思考と行動を読み切っておられるのですね。このナディア、マスターの深い考察に感服いたしました』

 うんうん、やっぱナディアは良い子だねえ。

『ちょ! そんな事より、何で大河さんがそんな事知ってるんですか! はっ……足が臭いって、もしや私が1日中履いて蒸れた靴下の臭いを嗅いでいたんですか? それで興奮して自家発電をしていたと!? とうとうそんな特殊性癖に目覚めてしまったのですね。いいでしょう! いいでしょう!! 不肖ながら、このサラが大河さんの特殊で異常な性癖と欲望のはけ口となって差し上げましょう! さあ、足をお舐め!』

 お前は、ちょっと黙ってようか。それとそんな特殊性癖は無い!

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