第10話  魔法を使ってみよう!  

 ん~魔素を感じちゃったんだよねえ。

 入門書には時間かかるって書いてたけどなあ……。


『魔素を感じる事が出来る様になったら、いよいよ魔法を使用する段階に進みましょう。あなたのイメージによって、魔素を別の事象に変換する作業が魔法です。


 魔法には次の種類があります。

 火系統=赤、水系統=青、地系統=黄色、風系統=緑、が基本的な四大エレメントと呼ばれている魔法の系統と魔素の色です。

 またその他には、木系統、空間系統、時間系統や、これらの複合系統、特殊系統があります。

 四大エレメントはほとんどの人が適応魔素を感じる事が出来ますが、それ以外の系統は、人種や個人の資質により魔素を感じられ無い場合もあります。

 ですから、魔素の色付けは個人の感想になりますので、正確には表現できていません。


 ではまず最初に、あなたのイメージに合った色の魔素を自分の中に呼び込む訓練をしましょう。

 あなたが見た色々な魔素から一つを選んで、自分のイメージを正確に伝える事が肝要です。

 この魔法が発動する前段階は、‟魔素との会話”と呼ばれています。

 形状、大きさ、強度、発現または効果を及ぼす場所、発現および効果時間などをイメージして下さい。

 さあ、あなたのイメージを魔素に伝えてみましょう!』


 ……なんだこれ。

 魔素と会話か、エレメントって元素って意味じゃないのか。

 これはアレか? 魔素ってオカルト系統のエレメントで精霊の事かな。

 って事は霊子とか幽子もあるのかな?

 

 まあいっか、取りあえず……林の中で火は危ないから、土の魔法使ってみよう。

 えっと、黄色の魔素っと見つけた!

 んで語りかけるのか……どうやって?

『土の精霊さん、土の精霊さん、力をお貸しくださいな』

 若干、こっくりさんっぽくなってしまった。

 

 おお! ふよふよ黄色の魔素が寄ってきた!

 イメージは……あのアラスカとかの一面の銀世界でイヌイットが作る氷のドーム状の家、イグルー。

 あれの簡素な物でいいんだ……本物は複雑な構造だけど、簡単なドームで……。

 あれ、魔素が困ってる雰囲気……?

 ああ大きさと強度と場所と効果時間……伝える事多いな。

 取りあえずは……目の前に直径2mぐらいの半球状で、一部に出入り口。

 ん~煉瓦ぐらいの強度で、精霊さんオネシャス!


 うぉ! 魔素がめっちゃ集まって来た!

 ありゃりゃ……魔素さんが円陣組んで相談してるっぽい……いやマジでそう見えるんだが。目がおかしくなったのか? ゴシゴシ……こすっても、やっぱ見える。

 んん!? そう言えば目を閉じてなくても魔素がはっきり見えるぞ?

 あ、相談終わったみたい。

 え~っと……エイエイオー! って、魔素ってやっぱ精霊さんなのか?

 いやごめんね、この星に無い物を頼んじゃって。

 いえいえ初めての共同作業が出来て嬉しいです?

 未知との遭遇はドキドキする?

 今後ともよろしく?

 ハイ、こちらこそ宜しくお願いしま……す?

 俺、土の魔素……精霊さんの言葉がなぜか分かるんだけど!

 え、他の魔素も何かしたがってるって?

 ちょっとまって、俺の理解が追い付いてないから。

 はい? 俺の魂が強いから近くに居ると心地良いの?

 

 はっ! 忘れてた!俺の魂のエネルギー、確かこの星の人の200倍だった!

 え、この星の人じゃない?この星の魂の総量の200倍ある……はあ……はあ!?

 んじゃ俺一人でこの星200個分のエネルギー持ってるの?

 あ……はい、そうなんですか。

 エネルギーちょっと下さい……? どうやってあげるの?

 あ、勝手にちゅーちゅー吸う訳ね。

 でも魂のエネルギー吸われたら、俺死ぬんじゃね?

 この星中の精霊が満腹になっても1/200しか減らないと。

 0.5%なら30分程で回復するのね。

 もう魔素じゃなくて精霊さんでいいか。

 んじゃ、この辺の精霊さんどうぞ~。


 俺の周りに色取り取りの精霊さんが集まって、めっちゃ吸われました。

 

 え~っと土の精霊さん……いつまでも吸ってないで、さっき頼んだイグルー作ってくれないかなあ……・。 

 え? もうちょっと?

 あ、そうですか……。

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