第9話  信じていいのか!?

 さて魔法の本も一通り読んだし、次はグーダイド王国史だな。

 

 う~~む……建国の話ってどこの世界でも神話みたいなもんだよなあ……。

 王様の先祖が神様の一族のひ孫って本当か?

 あの神様(と俺は信じている)の血族じゃないよな。

 光の巨人っぽかったあの神様とは、別の神様なのかな?

 この星独自の神様って可能性もあるのか。

 俺って元は一般的な日本人だから、宗教とかには無頓着だったけど、神様に会っちゃったからなあ。

 本当に居るのは間違いないけど、何柱ぐらい居るんだろ神様。

 ま、いっか。


 何々……王家は基本的に王家の父系男子が継承か……日本の天皇継承形態に似てるな。

 王家は政治には直接関わらないって、君臨すれども統治せずなのか……イギリスと同じだな。

 政治は貴族院と庶民院で政治が行われて、王家が裁可するって事か。

 う~ん……政治は難しいし、どうせ王家は関係ないからいいや。

 ん……? って事は、貴族制度もあるのか。

 貴族には貴民と勲民とがある……貴民は先代が貴族の家系で、勲民は功績などで貴族位を与えられた庶民であり、初代となる貴族家と。

 どうでもいいや。

 

 あ! すっげえ歴史見つけた!

 ダンジョン発見だって!

 モンスターの氾濫“スタンピード”もある!

 ほっほー……村が襲われて全滅した事もあるのか。

 勇者とか居ないの……あ、居ないんですね。

 歴史的な英雄は、スタンピードやダンジョン攻略に功績のあった人か。

 無茶苦茶チートな人ってわけでもないな。

 これはますます神様の便利グッズの出番が増えそうですなあ。

 何を創ろうかな~。

 数には限りがあるし、俺だけじゃなく家族にも渡したいから有効な使い方が見つかるまで封印だな。

 なんせ創ったらそれで終わりだもんな。

 

 もう勢いで変身ベルト創っちゃったけど……。

 だって変身したいじゃん……絶対に何歳になっても男は変身したいはずだ!

 

 そうだ、かわいい愛妹コルネちゃんが大きくなったら、魔法少女変身ステッキを創ってあげよう!

 コンパクトでもいいな……いやここはミンキーなモモちゃんみたいなペンダントでもいいな。

 いやいや魔法少女なまどかちゃんみたいなのも捨てがたい!

 魔法少女と言えば、可愛いもふもふペット? 使い魔? も必要だよな!

 これはコルネちゃんが大きくなったら要相談だな。

 もうあのカプセル2個は使う事が全会一致で決定しました!

 夢が広がるぜ! 変身ヒーローと魔法少女の夢のコラボレーション!

 おっと……妄想爆発しちゃったぜ、落ち着け俺。

 将来のためにもきちんと知識は身に付けないとね。

 知識は、無いと困るけど有っても困る事は無いはず。


 さあ、お勉強を……

「トールヴァルドさま、一緒にお勉強しましょう……トールヴァルドさまが居ないと、私さみしくて……」

 可愛い幼馴染ミルシェちゃんのお誘いには逆らえません。 

 はい、一緒にお勉強…というか、文字と計算を手取り足取り教えましょう……グヘヘ……。

「トールちゃん、真面目にやりなさい!」

「…………あい」

 母さんに怒られました……ごめんなさい。


 ▲


 さて、あのカプセルだが、良い感じの木の切り株に穴を見つけたんでそこに隠す事にした。

基本的に人には見えないと言われても、やっぱ心配だからな。

 穴の中にカブトとかクワガタとか何にも居ないかちゃんと確認したぞ。

 居たら嬉しいけど、スズメバチでも居ようものなら大変な事になる。

 穴の中をこつこつ掃除して粘土質の土を塗って固まったら、洞の中にカプセルを隠す。

 そして穴の入り口も木の枝とか使って網目状にして、そこに粘土を塗りたくって塞ぐ。

 そして苔を塞いだ粘土にくっ付けて古い切株に見える様にカモフラージュ。

 うむ……これで完璧!


 さあ、お待ちかねの魔法の練習するぞ! 

 準備するのは入門書、それだけ。

 

 なになに……


『魔法を使うには、まず最初に深呼吸して心を落ち着かせます。

 リラックスできる姿勢で、目を閉じて自分の周りにある魔素を感じる事が第一歩です。 

 魔素はあなたの周りに無数にあります。

 目を閉じたまま瞼の裏を見続けてください。

 瞼の裏に色々な色の光の球が見えてくると思います。それが魔素です。

 魔素を感じるまで、一般的に数日から数か月はかかると言われています。

 今日、魔素を感じられ無いからといって焦る必要はありません。

 じっくりと取り組みましょう』


 こりゃまんま座禅だよな。

 両足を太ももに上げる結跏趺坐はしんどいから、片足だけ上げる半跏趺坐にしてっと。

 ちゃんと呼吸は鼻からゆっくり長く腹式呼吸で、ちゃんと調息。

 心の中で1から10までゆっくりくり返し数えて……心を落ち着けて。


 アレ!? めちゃ色取り取りの光の球が瞼の裏に見えるぞ!?

 おい入門書! 短くても数日かかるんじゃねーのかよ!

 もう感じちゃったよ! わずか数分だよ!


 マジか……もうこれって次の段階に進んでいいのかなあ。

 ってかこの入門書信じていいのか!? 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る