魂の還元を

 雨のみちを往く。

 蝉の死骸を踏み潰す。

 紅い朝顔が私の顔を凝視している。

 みどりいろの蔓が絡まって、産み付けられ

 醜く孕んで枯れていく。


 曖昧になった境界線の終着点で、くろく染まっている。

 ちがう色で足をとられ、灰色の怨恨でぬかるむ。

 あのときころした孕ませられたこどもたち。

 汚い愛情で育まれ、穢れていく。

 真っ黒な目で私をみつめる。


 ころして、しんで、くさって……。

 骨に成ってきえていく。


 また棄てた。

 また殺した。

 また見捨てた。


 また、失敗した。




 また、狂った。





 そして死んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る