くろいなにか。
朝陽うさぎ
温かなスープを探せなかった
やっぱり違う。とか。
からっぽなら、その器を満たす“何か”を求め続けても、どれも違うとか飽きてしまって長ったらしい文章になって仕舞う。
耳に入ってくる近所でやっている工事の重機の音とか、テレビが映し出しているアニメの音声とか、会話の内容で脳がどろどろにとけていく。
目を。
耳を。
口を。
舌を。
髪を。
頭を。
鼻を。
指を。
爪を。
肢体を。
四肢を。
心臓を。
ぱーんって飛ばしたらどうだろう。……
まっぷたつに分かれた思考回路。
がたがたになった薬指の爪の形。
毒虫が好んでいた腐ったチーズ。
ごうもんがすきとか言って御仕舞いに嘘を吐いてしまった同級生のペンチ。
今思えば思うほどに。欠陥だらけのにんげんとか考えるようになった。
すべては無駄だと思えてた。
空白の日日ばっかとか。
綱でしめて溶かそうかと覚悟したかも。
かっこよく死にたいとか。
でも、かっこわるくても、生きろとか、言ってた。ひっしに言ってた。
言いたいことがいえなくて、ずっと独りになって、避けられて、自分の人生いいことないなとかマイナス思考がぐるぐるとループしていた。
***
階段を登った先は何も無くて、地上がほど遠かった。
そこにはいなくなった人たちの身体はかたちを無くして堕ちていく。そして最後に、口の中で言葉を転がした。自分が好きな言葉。
「欠落者はもういない。夢は死なせた。君を育てるのに失敗した。そして」
最後の言葉は、もう発されなくなった。持ち主を失った声は、地上を彷徨った。
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