孤独な天使たちの行方
古海 拓人
雨の始まり
郊外にある森林公園の脇にある古びた廃墟。
そこはかつて休憩所や売店があった建物だが、今は何もない朽ち果てた白亜の壁だけが往時を忍ばせる。
寂しいその場所に二人の男女が立ている。
“空より降る涙は二人の心を表しているようだった”
「由香利…」
艶のある長いマロンブラウンの長いストレートヘアーをなびかせる。彼女の名前は城田由香里。彼女を呼ぶ男性は金色の長い肩に近い髪を持つ。ハーフなのか顔立ちは整っているがエメラルドのような瞳は輝きを放ちながら彼女に語りかける。
「リンク」
リンク・ハワード、それが彼の名前だった。
生意気そうなキリとした瞳だが傷を背負っていた。二人は人に見えない大きな傷を秘めていた。
「リンク、私たち、これからどうすればいいの、どこにむかえばいいの?」
由香里は、リンクに問うが同じように瞳から涙を流す彼は答えられなかった。
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