第14話

「……まぁ、なんだい?おめでとう……と言った方がいいかな」


「結婚式には呼んでくれ」


「お願いします、まじでそのネタでいじらないで下さい」


 時刻はお昼。スティックヒューマン・オンライン公式リアルイベントが始まる二時間前に、俺達運営の使徒スレイプニールは集まっていた。


 実は退散していなかったカリンさんとハナミさんが俺たちの様子を盗撮。「みな、カリン。これからなんか面白そうな予感がするぞ!」と天才的な直感力を発揮させたハナミさんはバッチリと俺がメリィちゃんにプロポーズする所をバッチリと撮られました。あの後周りの見知らぬお客さんから「おめでとう!」と暖かいお声をもらいました。ありがとうございます。


 そして盗撮した動画をスレイプニールのグループL○NEへ投下。あっというまに知られてしまったということである。


 シルバさんに全力でいじられたので部屋から追い出して鍵を閉めておいた。めちゃくちゃドアからどんどん!と音がうるさい。暫く反省しててください。


 ちなみにメリィちゃんは女性陣(特にスピカさんに)引っ張られていった。目が物凄くキラキラと輝いていた。


 まぁ俺は俺でゴランさんとアランさんにいじられてますが。


「いやいや、素晴らしいことじゃない?プロポーズってその歳ですごいと思うよ?」


「男の中の漢だな」


「いや、ホント辞めてくださいよ………」


 ちょー恥ずいんですけど。シルバさんみたいに過剰にいじられるとムカつくけど、この2人みたいに純粋に祝福されるとムズムズする!向こうは向こうで盛り上がってますし。


 どんどんどん!!


 ………そろそろ可哀想なのでシルバさんを入れてあげるとする。


 カチャリと鍵を回してドアを開ける。


「反省しましたか」


「………………!」


 めちゃくちゃ首振ってる。声を出さないのは多分、開けば余計なことを口にするからだろうか。


 とりあえず部屋へ招き入れてからドアを閉めた。


「………元を言えば、俺はあんな所でプロポーズをしたみぃが悪いとシルバは思うんだが」


「それをネタにしたシルバさんが100パー悪いです」


「ま、そこは否定できないかなぁ」と頬をポリポリかいて苦笑いアランさんの隣ではゴランさんがうんうんと頷いている。


 シルバさんが口を開き、何か言いかけた瞬間、俺のズマホから着信音が響く。電話相手はフヨ………ってフヨさん!?


 俺は急いで着信状態にしてから耳に当てた。


「も、もしもし!」


 緊張してちょっと声が裏返った。


「うぃーっす。フヨだけどみぃくんさ、今暇?」


「め、めちゃめちゃ暇です!」


 ふおおお!!生フヨ声だぁぁ!!


「もしかしてみぃくん緊張してる?」


 あ、声がフヨさんじゃない……これはコージさんだ!


「そ、そりゃあ!緊張しますよ!好きなゲーム実況者さんの電話なんて………」


 心臓バックバクなんですけど!


「お、嬉しいこといってくれるじゃーん?」


「ほんとなー。コージには勿体ないくらい」


「確かにそのとおりっておい!それどういう事だよ!」


 出た!このコージのノリツッコミ!生で聞けるとは思わなかった!


 しかし、何故フヨさん達はこのタイミングで電話をかけてきたのだろうか。ふーすけさんとキラさんの声とかも聞こえないし。


「えっと………フヨさんはどうして俺に電話をしてるんでしょうか」


「実はーーー」


 現在、フヨさんは何故か控え室で後で動画投稿サイトに上げる実写の動画を撮っていて、その企画名が『今、友達何してる?』という俺も見た事がある企画だった。


 確かその時はハトルトさんやアッチマンさんとか藤沢さんとか、様々な人に電話をかけたが、半分以上がそもそも電話に出なかったという神回だ。あれ好きだったなぁー。


 で、その企画に、今俺が巻き込まれていると。


 …………………………


 ふぁー!!めちゃくちゃ嬉しいんですけど!


「もうさ、さっきてふてふと空月に電話かけたけど、二人とも出なくて」


 笑いながら有名歌い手さんの名前を上げるフヨさん。え、あの二人の後に俺ですか?


「コイツの友達全然出なかったけど、みぃくんが出てくれてほんと助かった」


「このままじゃ企画倒れだもんね」


「うるせっ、お前の人選が悪いんじゃ!」


「ふふっ………」


 この二人のコンビは本当に面白い。俺が一番好きな二人組だ。あのうさぎのやつもすげぇー面白かったし。


「で、みぃくん今何してた?」


「今………………」


 部屋を見渡して、シルバさんに目がむく。シルバさんが「え?俺?」みたいな感じで自分に指を指した。


「…………追い出されてたシルバさんを部屋に入れてました」


 うん、間違ったことは言ってないな。現に入れたばっかりだしね。



「「……………んっ?」」


 二人揃って内容を理解できなかった時の声が聞こえた。俺は色々と言葉を濁しながら、フヨさんとコージさんに内容を教えた。大爆笑だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る