第13話

 コーヒーを取ってきたハナミさんとそのまま朝ごはんへ。


「それにしても、ハナミさんって結構早起きですね」


「それを言うならみぃくんもだろう?」


「そんなんですよ。私、まだ眠かったのにみぃくんに起こされちゃって……」


 いやぁ……だって仕方ないじゃん?俺高校入って一応毎日めちゃくちゃ早起きしててさ、勝手に朝早く目が覚めちゃうんだよね。夜更かししても絶対に早く起きちゃうのよ。


 でも今日は仕方なくない?ほら、だって今日イベントだし……。


「俺は早起きですからね、ハナミさんは?」


「……恥ずかしながらな……実は、ちょっと緊張しててあまり眠れなくてな……」


 あはは……と言いながらカリカリと少しばかり気恥しそうに頬をかいた。


「………あら、みぃさんとメリィさんとハナミさん、おはようございます」


 雑談に花を咲かせていると、黒髪ツインテールのカリンさんがやってきた。


「おはようございます、カリンさん」


「おはよう、カリン」


「おはようございます」


「あの……相席よろしいですか?」


 どうぞ、とハナミさんが椅子を引いて上げた。なにそれ、動作イケメンかよ。


「皆さん早いですね」


「私はみぃくんに起こされたんだけどね………」


「ちょ、メリィちゃんその話まだするの……?」


「……起こされた……?え、もしかしてお2人は同じ部屋なんですか……?」


「はい」


 ぱちぱちと瞬きを二回してチラッ、とハナミさんへ視線を送るカリンさん。ハナミさんはコクリと黙って頷いた。


「そういえば、カリンさんってシルバさんの前だと口調違いますよね」


 あ、それは俺も思ってた。カリンさんってシルバさんにだけ言葉遣い適当だし、一刀って呼んでるよな。


「………あの男とは……こう、本能的に受け付けないというか………」


「「うわぁ……」」


 ……まぁ確かにカリンさんって学級委員長とか生徒会長とかやってそうなイメージがあるからな。こう、キリッとしているし。


 シルバさん髪染めてるもんね。チャラそうだもんね。実際とてもいい人だけど。


 ちなみに、在原から頼まれてたシルバさんの写真だが、快くOKをもらった。「弟子のためだったらOKだぜ!」と無駄にキラリと眩しい歯を輝かせてた。あれは正直若干俺も引いた。


「………しかし、皆さん中々降りてきませんね」


 メリィちゃんがぼそっとエレベーターの方向を見ながら言った。


「ま、この時間帯に起きている我々が早すぎるんだ。皆まだ高校生だからな」


「あの、ハナミさん。スピカさん中学生ですよ?」


「………あの子はイレギュラーだ」


 スっ、と視線を右下に逸らした。まぁあの子枕持ってきてたもんね。


 ちなみに、この中だと俺が一番年下なんですねはい。皆さん俺より一つ上だそうで。


「……そういえば、カリンさんとハナミさんは受験勉強大丈夫なんですか?」


 もう7月だ。メリィちゃんはぶっちゃけ天才に近いので心配はしてないがこの二人はどうなのだろうか。


「私はもう大丈夫です。専門学校の合格が決まりましたので」


「へぇ、早いですね」


「私、将来はプログラマーになりたくて。そういう系の専門学校に早めに合格決めて、今は少しだけどプログラミングの勉強をしてるわ」


 専門学校は早いところは既に受験が始まってるからな。合格が決まってるなら安心だな。


「私は将来は実家を継ぐことになっている。社名は明かせないが、既にそういう系の勉強は全部覚えたからな。高校卒業と同時に社長だ。ま、暫くは社長秘書だが……」


 こっちはスケールが大きくて誰も反応できなかった。


「……メリィちゃんはどうなのよ?もう進路は決めてるの?」


 あ、それは俺もちょっと気になるかも。


「…………………………?」


「こら、そんな可愛い顔して惚けても無駄だぞ。さぁ、吐け」


 ハナミさんが何やら楽しそうに身を乗り出してメリィちゃんに詰寄る。


 メリィちゃんはチラチラと俺を見て助けてほしそうにしているが、俺も聞きたいのでここは敢えて無視。


「ほらほら、あなたの彼氏も聞きたがってるわよ?言った方が楽になるわよ?」


「うっ…………」


 メリィちゃんは急激に顔を赤くして下を向き、何かを呟いた。


「ーーーーんのーーーーめさーー」


「ん?どうした?よく聞こえないぞ?」


「あの……その………」


「さぁ吐きなさい?」


「……………お嫁さんです……みぃくんの……お嫁さん」


 カチーン、とメリィちゃん以外の空気が固まったのが分かった。


「高校卒業したら……家出て……そのままみぃくんのお嫁さん…………みゅぅぅぅ!恥ずかしいからみぃくんの前でしか言いたくなかったのに………」


 メリィちゃんが赤くなった顔を両手で隠した。


「……………私、コーヒーいれてくるわ」


「………私も行こう。多分暫くは戻って来ない方がいいだろう」


「え、ちょ!」


 スっ!と素晴らしい速度で消えていくカリンさんとハナミさん。あの!この空気で俺一人にしないでくんさい!


 いや!もちろんお嫁さん宣言とても嬉しかったですけどねぇぇぇぇ!!


「………あの」


「………うん」


 見つめ合う俺たち。一瞬目と目が合う瞬間すーきだと気づーいたーというよくネタで使われる歌詞が流れてきたが容赦なく弾き出した。


「………その、とても嬉しかった……です………ハイ…」


「…………あの、不束者ですが、宜しくお願いします……」


「…………うん。ずっと……俺の傍で……隣で一緒に…」


「……はい」


 なんかプロポーズしてた。そしてなんか拍手もらった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る