8話

 電流が走るとは、多分経験したことある人にしか分からないことだろう。


 覚悟はしていた。


 後ろを振り向けばメリィちゃんがいる。もうそれだけで俺は有頂天で、それ以上に喜ぶことは無いということ。


 例え、言い方は悪くなるが、ちょっとお世辞にも可愛くなくても、俺はメリィちゃんとは友達でーーーー中身も知れば、俺は本気で告白しようと思う。


 ……何?顔の造形のことはお前も言えないだろうって?分かってるよそんなこと。フツメンの俺が言うのも烏滸がましいことだってわかるよ。


 とまぁ、先程前述した通り、それなりの覚悟はしていたと思うんだ。


 それなのにーーーーー目の前にいるは俺の予想を超えるくらいの可愛さを誇っていたのだ。


 肩にかかるくらいの長さで緩くウェーブがかかった銀髪、そして日本人とは思えない碧色の綺麗な瞳。


 そう、めちゃくちゃ可愛くて思わず思考が停止してしまった。


「あの………初めまして」


 少し頬を赤らめさせる。肌の色が白いため、その色もより際立って見えた。


「メリィこと、潮目リアって言います。よろしくお願いしますね、旦那様!」


 ニコリ、と。俺に向けて少しの恥ずかしさを孕ませた笑みを浮かべる。


 そんなメリィちゃんの行動に俺はーーーー


「ゴボファ!?」


「みぃくん!?」


 吐血した。もちろん、比喩ではあるがな。


 胸を抑えて片膝をついて荒く息を吸って吐く。俺の急な態度にメリィちゃんもオロオロと心配そうに俺を見ている。


「くっ……油断していた……!メリィちゃんがこんなにも可愛いだなんて……っ!」


「はうっ!」


 近くにあったベンチに座って、両手で顔を隠すメリィちゃん。指の隙間や、覆いきれていないところから真っ赤な程顔が赤くなっていた。





 10分後。ようやく落ち着いた俺達はもう一度自己紹介をしていた。


「潮目リアです。よろしくお願いします」


「早川充です。よろしくお願いします」


 ぺこり、と二人で頭を下げる。ファーストコンタクトがあんなだったから、お互い距離を測りかねている。


「えっと……メリィちゃんはハーフ?」


「は、はい。父が日本人で母がロシア人です」


「へぇ……」


 だからそんなにも髪と瞳が綺麗なんだなぁ。ハーフってなんか偏見だけどイケメンと美人が多い気がするのは俺だけ?


 そんなことを考えながらぼーっと見ていると、どんどんメリィちゃんの顔が赤くなっていった。可愛いなぁ。


「その……みぃくん、見すぎ…!恥ずかしいよ……っ」


「ご、ごめん……」


 またしても二人して顔が赤くなる。くっそ……メリィちゃん可愛すぎだろほんと……。


 赤くなる顔を片手で隠してからゆっくりと深呼吸。顔の熱の入れ替えを図るが、上手くいかない。


「……その、みぃくんってかっこいいね。声の感じからして予想通りだった……」


「うっ………」


 かっこいいと言われて、更に顔が赤くなる。上手く思考が纏まらなくなって頭がふわふわしてきた。


「……め、メリィちゃんも予想以上に可愛かった……見蕩れる位に………」


「みゃ……!」


 あー……あかん。なんか頭の中まじでふわふわした気分になって色々とやべぇ。なんか思ってることすぐ口に出しそう(手遅れ)。


「うぅ……みぃくんそんな簡単に可愛いとか言わないでぇ……心臓キュン死しちゃうよぉ」


「お、俺もどうにかなりそう……」


「い、一旦トイレ行ってくるね!」


 と、赤い顔のまま駅のトイレに駆け込んで行ったメリィちゃん。


 うん、俺も落ち着く時間が必要だな。


「すぅ………はぁ……」


 大きく、ゆっくりと深呼吸して、心臓の音を感じる。こうして無理やりにでも心臓を押さえつけないと本当にどうにかなりそうで困る。勢いでまじでメリィちゃんに告白してしまうから。


 とりあえず………今の気持ちを何とかして表さないとやばい。なので、スマホのメモ帳を開いて、沢山可愛いと打っておいた。


 可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛いーーーーーーよし、落ち着いてきた!


 気持ちを一通り書き出したため、何とか思考の方も戻ってきた。いやぁ、やっぱ気持ちを表すって大事よ。


「お待たせ、みぃくん」


「メリィちゃん」


 そして、タイミングよくメリィことの方も戻ってきた。気持ちをひとしきり出し切ったため、一目見たときのようなインパクトはさすがに起きなかった。


「気持ち、落ち着いた?」


「うん。なんとか落ち着いた。みぃくん不意打ちばっかりしてかるんだもん」


 むすぅ……と頬を少しばかり膨らませて不機嫌ですアピール。


「ごめん。そういえば宣言が必要だったの忘れてた」


「そうだよ!もぅ、みぃくんのおっちょこちょい!」


 おっちょこちょい……?それはなんか違くない?


「ごめん、頑張って次からは宣言するように気をつけるよ」


「気をつけるんじゃなくて絶対だよ!しないと私心臓どうにかなるから!」


 それは俺も一緒だから!


 しばらく見つめ合う。すると、どちらからともなく笑いが生じた。


 今日、初めて会うはずの俺達。しかし、そこには確かに、今までゲームで積み上げてきた絆を感じることが出来た。


「ふふ……それじゃあ行こっかメリィちゃん」


「うん、そうだね。折角早めに二人とも着いたから沢山遊べるね!」


 彼女は笑う。それに釣られて俺も自然と笑顔になる。


 そうして、二人は秋葉原に向かう。隣合う二人の距離感はまるでゲームの時と同じようなーーーーー


「あの……みぃくん、折角のデートだから……おてて、繋ぎたいな」


 ーーーー失礼。ゲームの時の距離感より近い。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

安〇先生………もっと評価が欲しいです…!

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