第2話

「……それで、どうしたの急に」


 無事に回復した俺は、頑張って平静を保って声を掛けた。少しでも気を抜くとあれがあれしてああなってやばい。


 やばいな。語彙力がちょっと崩壊してる。


「その……旦那様の声がちょっと聞きたくなって……電話しちゃった」


「~~~~~~~~っっ!!!」←声にならない叫び


「ちょ!?みぃくん!大丈夫!?」


 大丈夫じゃないです。あなたの可愛さに殺られてます。


 なんて声に出して言えないのがネットゲーマーの性か。そんなの口に言えてたら今頃俺はモテてる。確証はないけど。


「……ふぅ、落ち着いた」


 メリィちゃん……不意打ちやめよう?俺がキュン死したらどう責任とってくれるのかしらん?


 それにしても、なんかケッコンカッコカリしてからメリィちゃんさらに可愛さに磨きががっている気がするのだが。


「今何してたの?」


「リア友がシルバさんの大ファンだから、一緒に琥竜潜らせてる」


「へー……私もそっちいっていい?」


「うん」


 パソコンの通知でメリィがログインしましたと出る。フレンド同士だと、プレイヤーの元へ直接転移できるので、すぐにメリィちゃんが姿を表した。


 メリィちゃんが来たことにより、野良チャット欄で『お、双棒が揃ったな』と流れる。やはり俺とメリィちゃんは二人で一人みたいな所あるからな。


「やっほーみぃくん。どうする?私達も潜る?」


「うーん………」


 でもシルバさんにここで待ってますって言っちゃったからな……あ。


「ねぇねぇメリィちゃん。シルバさんと、俺のリア友の四人で偶には四人限定高難易度ダンジョンいかない?」


「え、なにそれ面白そう」


 その後、どこ行くー?とか話していたら、二人が戻ってきた。


[シルバ]『やぁみぃ。戻ってきたーーーーおや、双棒の片割れも合流か』

[みぃ]『おかえりなさいですシルバさん。ウレ、どうだった』

[ウレ]『感動した。俺、琥竜、好き』


 なんか日本語怪しくなっているが、まぁいいか。


[みぃ]『所でシルバさん、ウレ。メリィちゃんも来たから四人で高難易度ダンジョンいかない?って話になったんですけど』

[メリィ]『そうなんですよ。シルバさん、なんかいい稼ぎ場所知ってますか?』

[シルバ]『この後みぃと琥竜行く予定だったが……面白そうだ。いい所を紹介しよう』

[ウレ]『俺、一生シルバさんについて行きます!』

[みぃ]『シルバさん、明日琥竜二人でいきましょうね』

[シルバ]『了解した』


 こうして、俺とメリィちゃんは久々に4人パーティーを組んだ。役割としては前衛にシルバさんとメリィちゃん。中衛にウレ、後衛に俺の中々バランスのいいパーティーになった。


 そして、シルバさんが俺たちに案内したのは『白鯨の居城』という第三段アップデートから存在する、今も尚攻略するのが難しくてやりがいのあるダンジョントップ5に入っている。俺とメリィちゃんは挑戦したことがないダンジョンだった。


「ここさ、俺には無縁だなって思ってたから全然情報持ってないんだけど……」


「同じく。私も無縁だと思っていました」


 なんせこのダンジョンは四人限定。野良でパーティー組んでも100パーセント失敗するため、行かなかった。


[みぃ]『俺とメリィちゃん、ここなんの情報持ってないんすけど大丈夫ですかね?』

[シルバ]『大丈夫だ。俺はここ100回以上行ってるから、ギミックも敵モンスターも全て教える』


 簡単にまとめると、全ステージで5つ。それぞれ、亀、サメ、エイ、イルカの中ボスモンスターを倒した先に、ダンジョンボスである白鯨が存在する。


 驚きなことに、レベルはなんと当時のレベルキャップは100だったため、パーティーレベルの合計がMAX400だった頃は最強の敵として存在していた。


[シルバ]『気をつけることといえば、最初の亀でデバフを多く喰らわないことだな。これがのちのちに響いてくるから、みぃはきっちりと支援よろしく』

[みぃ]『ういっす』

[シルバ]『メリィはタンカーだから、きっちりとジャスガね。基本的に全部初動は分かりやすいから、メリィほど実力があれば大丈夫』

[メリィ]『はい』

[シルバ]『弟子は俺についてこい!』

[ウレ]『はい!師匠!』


 なんか師弟関係生まれてた。

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