第4話
結果的に言うと、琥竜の雄叫びクエはかなり(俺たちにとって)簡単なものとなっていた。
このクエストは、ボスと戦う前に中ボスと三回戦う必要があるのだが、隠しギミックとして三体の討伐合計時間が30分以内であると、ラスボスの防御力が30パーセント低下というのがあるのだが、まずそれが達成し安くなっており、40分に増えていた。
それと、道中の雑魚キャラが減っていたり、攻撃に移るまでの時間が長くなっていたりと、かなりの難易度低下が見られた。それでも一歩間違えば即死だったが。
「右、左の噛みつき」
「うん」
琥竜が頭を上にあげ、そこから超高速の時間差噛みつき攻撃。メリィちゃんはタワーシールドを横に掲げてほぼ同時の時間差噛みつきを防御。
一瞬の隙を見逃さず、攻撃魔法を3連続で放っていく。30パーセント低下なのでみるみる減ってく減ってく。
「スイッチ!」
「あいよー」
メリィちゃんがシールドバッシュで琥竜を突き飛ばし、俺は素晴らしいスピードでメニューを開き、ステータス画面へ。そこで、装備を保存している欄へ飛び、アタッカー01と書かれているので、ボタンポチッ。
琥竜の杖が消え、代わりに『真祖の剣』が姿を現す。
スティックヒューマン・オンライン必須スキルの一つである、
簡単に言えば、メインは盾で使ってレベルが50でも、剣に変えてもレベルは落ちないってことだな。
上級者になればなるほど使いこなせる武器種は増える。このバトルスイッチを使いこなせるか否かが、中級者と上級者の境目だ。目標2~3秒ってとこだな。
その中でも、俺とメリィちゃんは上級者でありながら使う武器種は2種類だけという異色なコンビなのだ。俺が杖と剣。メリィちゃんが盾と槍。そこからも双棒っていうあだ名がついたかもな。
個人的には、二つ名は横文字が良かったです!ほら!もっと頑張ってよ!もっとデュアル何とかとかあったでしょ!2にこだわるなら!
「1」
真祖の剣が光り、琥竜へ高速の5連撃が繰り出させれる。
「5」
耳元でも数字を言う声が聞こえ、槍に変更したメリィちゃんが間髪入れずに琥竜へと攻撃を入れノックバック。
「2」
「フィニッシュ」
槍の奥義である8連撃が見事に決まり、琥竜はその体をポリゴン状に爆散させた。
それで、途中で呟いた数字はそれぞれ意味がある。1だったら『全部削る予定で行くけど、無理そうだったら素直に諦め』とかまぁそんな感じで、意味がある。
パンっ!と『congratulations!!』の文字が出ると、ハイタッチを交わす俺とメリィちゃん(のキャラ)。
「おつかれ様みぃくん。タイムは?」
「40分57秒。最速タイムより7分ほど早い」
早くなったことには早くなった。しかし、あまり差が開いてないのは、バランス調整が上手くいっていることである。
「うん、丁度いい難易度だったな」
適度に難しく、それなりの時間で楽しめるダンジョンになった。
「丁度いいというより、前回のが難しすぎたんだよ~。初めてだよ、クエストクリアして机にもたれかかったの」
「俺も」
手汗もやばかったしな、あの時は。
クエスト報酬のログを眺める。大量の経験値、金、それとドロップ…………ん?
「……なんだこれ?」
ドロップアイテム一覧に『???』というのがあった。
「どうしたの?」
心配したのか、耳元で俺を案ずる声が聞こえる。
「いや……なんかアイテムに???って名前のアイテムがあるんだけど…そっちある?」
「え?……こっちにはないよ」
「……バグか?」
とりあえず、これは運営に報告だな。
『琥竜の雄叫びクエストのラスボスでアイテムの表記名が???ってなってましたよ』
送信っと。スティックヒューマン・オンラインはバグとか不具合報告とかがやり易いからいいよね。
「みぃくん、まだやる?」
「当然」
まだ時計の針は12時を回っていない。まだまだ夜は深くなる。ここからが本番みたいなもんだろ?
「とりあえず、これからーーーーー丁度いいタイミングで緊急レイドがでたな」
クエスト名は『怒れる大地の咆哮』。キラーベヒモス討伐クエだな。
「行く?」
「暇つぶしに」
別名殺人猪。一発一発の攻撃が強力でレベル150のプレイヤーでも体力が一瞬で持ってかれる鬼畜仕様。
「何人くらい参加すると思う?」
「皆、今血気盛んだから結構来るんじゃない?恨み持ってるやつとか多いし」
主に150プレイヤーが。
「それじゃあ行こ!」
「了解」
この後めちゃくちゃゲームをした。
ちなみにだが、あのアイテム表記のやつはバグではないらしい。運営から『楽しみに待っててください』と来たんだが……なんだ?一体。
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