奇術の夜

伊月香乃

0-0.プロローグ

 は、毎晩『その場所』に子どもたちを案内していた。夜な夜な彷徨う子供たちを、一人一人案内する。

 ある者は喜び、ある者は拒んだ。だがどんな者も皆、の瞳を見ると途端に大人しくなってについてゆくのだ。


 は、来たるべきときにむけて準備していた。彷徨う子どもたちは途絶えない。順調に集まっている。だが足りない。決定的に何かが足りない。何か、いや、誰か。

 強いモノが必要だった。しかし『その場所』は弱いモノしか受け入れない。さて、どうしたものか。


 は焦っていた。弱い者ばかりを集めていてももう間に合わないだろう。やはり大衆を導く強いモノが必要だ。あるいは、導くだけなら──。



 はとある決断をした。





「頼んだよ、■■■■■、■■■■」


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