第6話 変数と演算 その2
僕は悔やんだ。
なんでさっき、思い付かなかったんだろう。
「足し算じゃなくて掛け算をすれば良かったんだ」
そうすれば、
「謎の武器(5040) = 銅の剣(10) × 棍棒(7) × ヒノキの棒(6) × パンチンググローブ(4) × 錆びた剣(3) 」
攻撃力『5040』の武器!
そんな武器存在するのか?
この世界に。
でも、さっき足し算じゃなくて掛け算をすればそんな武器が手に入ったはずだ。
「くっそー!」
「あきら様。悔しいかもしれませんが、仕方ありませんよ」
ソラリスが優しく慰めてくれる。
僕は諦めきれない。
「ソラリスさん。まだお金ありますか?」
「もう100エンしかありません」
「100エンで買える武器を買って来てください」
ソラリスは棍棒を手に戻って来た。
棍棒の攻撃力は『7』だ。
さっき手に入れた鉄の剣の攻撃力は『30』。
僕は唱和した。
これを掛け算すると……
「謎の武器(210) = 鉄の剣(30) × 棍棒(7)」
攻撃力『210』の武器が出来るはずだ。
だけど、謎の武器と書かれた変数箱に、鉄の剣と棍棒は収まらなかった。
「なんで?」
僕は首を傾げた。
何度も試すが、上手くいかない。
MPが足りないかと思い、ソラリスにステータスを見てもらう。
Lv.3
スキル :プログラミング(レベル1)
攻撃力 : 4
防御力 : 8
HP : 10
MP : 10
素早さ :5
知力 : 50
運 : 5
「MPはあるなあ……」
僕はまた首を傾げた。
「もしや、スキルレベルが足りないのでは」
「あっ!」
確かに、『プログラミング』スキルのレベルは『1』だ。
もしかしたら、掛け算をするためにはレベルを上げないといけないのか……。
「世の中、上手くいかないなあ」
「上手くいかない方が楽しいですよ」
ソラリスったら前向きだな。
仕方なく僕は、唱えた。
「謎の武器(37) = 鉄の剣(30) + 棍棒(7)」
攻撃力『37』の、ちょっと強くなった鉄の剣を手に入れた。
「さぁ、これでゴブリンを倒してレベルを上げましょう!」
ソラリスが長い髪をなびかせながら、僕の前を歩いて行った。
つづく
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