アイツが妹になるなんて聞いてない!

むらさめわこう

プロローグ

第0話

 中学時代の夏休み前の出来事。

 俺、日野ひの 海都かいとの夏休みは充実した暮らしが待っているなると信じて、期待を胸に膨らませながら楽しみにしていた。

 だが、現実はそう簡単にはいかなかった。

 中学校の屋上で何名もの男子生徒が助けを求め、空に向かって叫びを上げる。

 それはまるで幼い子供が母親を呼ぶように惨めだった。


「や、やめろ……もうやめてくれ」


 俺に向かって男子生徒の1人が助けを求める。しかし、俺はやめる事なく、右手を握りしめてアイツらの頬を殴りつけた。

 何度もーー何度も何度も何度も。

 拳の皮がむけて血が出る感触がする。

 それでも俺は拳を止めることは無かった。


「なんで! なんでアイツのを!」


 感情の制御が出来ない。

 生まれて初めて感じる激情に襲われた。

 俺は止まる事なく拳を振り下ろす。


「ーーもう! もういいから日野君ッ!」


 そんな時、後ろで涙を流していた少女が、俺の手を掴んで必死に止めに入る。

 その後は先生が介入し、乱闘事件は収縮して俺は事件を起こした張本人として、一ヶ月間の停学処分を受けた。

 その時は丁度、夏休みに入る期間だった。

 停学処分は罰則が緩いと判断され、俺は人一倍に課題をやる羽目になった。

 夏休みが明け、俺は乱闘事件の引き金となった彼女に早まろうと学校に向かった。

 だが、彼女は俺に「」と手紙を残して、別の学校に転向してしまった。

 今でも彼女が転向したのは俺のせいなのだと考えたいる。俺が、あんな事件さえ、暴力などで解決しようとしなければ彼女は……。


 それから俺は高校二年生になっていた。

 彼女は今は何をしているのだろうか……?

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