第17話 廃棄される空上国家 ついに1基が墜落

●旧北側系空上国家フランドール永生国が墜落

旧北側国家であるフランドール永生国が墜落していることが分かった。墜落場所は旧北側大陸の海域であり、大きな被害は報告されていない。東部安全管理センターは現在、詳しい調査を進めている。


●北側大陸海域に墜落 陸上・海下ともに目立った被害なし

フランドール永生国は、6000年6月26日ごろに墜落したとみられている。北側海域に墜落したため、その瞬間の目撃情報は確認されていない。


30日に神庭島の難民パトロール船が墜落現場を発見。東部安全管理センターに通報した。


東部安全管理センターの調査チームによると、現在近隣への被害は報告されていない。国家内は生物が存在しない状態で廃棄されており、死傷者も見られない。


ただし都市機能の各ユニットには故障個所が複数あり、今後も事故が発生するおそれがある。東部安全管理センターは周辺海域を封鎖し、調査を進めている。


●墜落原因は浮遊ユニットの故障か?

調査チームは「断定できない」としながらも、今回の墜落原因は浮遊ユニットの故障だった可能性が高いと発表した。


浮遊ユニットは空上都市の中枢機能の一つである。浮遊性の魔法石と継続魔法で構成されており、都市の浮遊状態を維持している。都市の規模にもよるが、一都市に通常4~16の浮遊ユニットが搭載されている。


フランドール永生国は4つの浮遊ユニットが搭載されていた。今回は何らかの原因でそのうち1つの魔法石が落石。浮遊状態を維持できずに墜落したとみられる。


●95年には廃棄 無人化以降は整備されず

空上都市機能は定期的なメンテナンスが必要だと知られている。今回問題となった浮遊ユニットは、通常3~5年ペースでのメンテナンスが必要である。


しかしフランドール永生国は95年の廃棄以降、一度もメンテナンスを実施していなかった。


フランドール永生国は国家離散に伴い廃棄されたため、廃棄した後の空上都市を管理する機関が無い状態が続いていたからである。


●増え続ける廃棄空上国家 対策は? 

フランドール永生国のように、南北戦争や大陸崩壊をきっかけに空上離脱した北側系国家が離散する事例は増加しつづけている。


空上国家が離散・廃棄されると、宙に浮いた都市が何のメンテナンスも得られないままで放置されてしまう。


そうなると、墜落のほかにも多数のリスクが生ずる。適正廃棄されなかった都市では、取り残された人々が難民化する場合がある。また、危険勢力が廃棄された都市を狙い、拠点としてしまうおそれもある。


空上国家の廃棄後の管理は、責任主体の特定が難しい場合も多い。国家元首や責任機関が死亡している場合の対応が求められている。

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