第2話 始祖神降迎から3か月 北側大陸復帰なるか?独占インタビュー

6000年の2月3日に人類は始祖神を降迎した。


実に2000年ぶりとなる始祖神の降臨は、世界中の人類の注目を集めた。


それから3か月、始祖神は久しぶりの人の世に興味を示され、精力的にメディアからの取材を受けている。


最近は始祖神のご活躍を目にしない日は無い。


●始祖神への独占インタビューに成功


先日、弊社にも始祖神への取材チャンスが訪れた。


文字の泉社の全てのメディアを合わせて1時間という、非常に限られた条件下で取材は許された。


文字の泉新聞はMTBと合同で10分間の独占インタビューを実施。北側大陸の復帰について、始祖神の考えをお聞きした。


●始祖神とは

初めに世界に降誕された神。自然七神の長であり、神庭島の島主である。


神庭始まって以来不老不死の存在であったが、1980年ごろに人身一致の儀を受ける。その後は滅びの運命により、死に生まれを繰り返している。


最近では4000年6月に降臨、4054年に没した。


南北戦争による北側大陸の崩壊を受けて、6000年に降臨。


北側諸国の難民救済に取り組まれている。


●北側の復帰可能性はある

記者:

北側諸国の難民救済のためにお力を注がれていますが、北側大陸の復帰で解決するのでは?と考える者も多いと思われます。


私なども、そのような民の一人ではありますが、始祖神様はどのようにお考えでしょうか?


始祖神:

まず、お伝えしたいことがあります。


北側大陸の状況には、私も心を痛めております。


人々が故郷に帰りたいと思う気持ちは自然なことで、私もできる限りそれを叶えたいと思います。


●始祖神の胸中とは

記者:

それでは、北側大陸の復帰は予定されていると?


始祖神:

予定、とはいえません。


あの大地の崩壊は、神々の意志ではなく人類によってもたらされました。


世界を作り替えるような業(わざ)を、すぐに行うわけにはいかないのです。


●北側なき世界の安定が先決

記者:

神の御業でも早々の復帰は難しいということですね…


始祖神:

なくなってしまった大陸を戻す時には、今ある大地や人々が危険にさらされるでしょう。


その時が来るまでには、まだ時間がかかります。


記者:

その時、とは?


始祖神:

人々が取り戻したいと思う時です。


同胞の家を、故郷を、自分の物のように思い、失われた大地を悲しむ時です。


記者:

北側諸国出身者を、それ以外の人々が受け入れるという事ですか?


始祖神:

それも必要でしょう


●これ以上反発強くなれば北側だけでなく世界全体が危機も


記者:

始祖神様の御心に反して、世界では北側諸国への反発が強まっています。


それに対して、どのように思われますか?


始祖神:

私には、どちらの人々の気持ちも伝わっています。


私が動くことで、人々の心を乱すことがあるという事も、分かっています。


それでも、もう一度人の世に出る事を決めました。


手を取り合い、世界を守ってください。


危機はまだ、去っていません。


●われわれ人類が今するべきこととは?


人化された始祖神は、一度の降臨で一生分の時間しかとどまることができないと言われている。


神が我々の前に姿を見せてくださるのは、あと数十年しかない。


その間に人類は何をするべきだろう?


いま一度考えてみるべきではないか。


政治部記者 ウ・オー


神庭暦6000年5月

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