おかしな二人

第3話 働く二人

「ハデにやってくれるよなぁ」

「そりゃ抗争の真っ最中だからな、仕方ないよ」

「まぁ、拳銃バンバン撃てるからいいけどな」

「問題発言だぞ、それ」

「実際こんな時でもないと撃つ機会ないやん」

「お前なぁ･･･」

『た、助けて…』

「あ!?早く着きすぎたな」

「何で？」

「まだ生きてる奴いるし」

「不謹慎だぞ､お前」

「だってヤクザ嫌いやし」

「あのなぁ」

「抗争なんてドームでも借りてやればいいと思わないか？」

「思わないよ」

「貸してやればいいやんなぁ」

「申請用紙になんて書いて借りるんだよ！」

「…親善試合？」

「どこが、どう親善なんだよ！」

「…街中でドンパチやるから仕方なく働いてるんやん」

「仕方ないとか言うなよ！」

「だってさぁ…ヤクザ嫌いやし」

「好き嫌いの問題じゃないだろ！」

「だってさぁ…」

「私情はさむなよ！」

「よく働いてるよな、お前」

「生活できないだろ？」

「市民の生活を守る為じゃないのかよ」

「給料の為に決まってるだろ！」

「うわっ！やな奴ぅ、最悪やん」

「お前には言われたくないよ」

「ヤクザ嫌いなだけだよ」

「嫌い嫌いって、ガキかよ」

「ガキでもいいよ」

「…ダダこねるなよ！」

「ダダっ子でもいいぞ？」

「…はぁ～～～」

「ため息つくなよ」

「こういう連中を更正させるのも、仕事の内なんだよ！」

「よけいなお世話じゃないか？」

「そんな事ないって」

「他にも仕事山積みやん？」

「これも仕事！」

「だってぇ」

「だってじゃない！！」

『早く助けて』

《滝沢、応答しろ！！》

「…」

「…」

《滝沢！現在地は？》

「…」

「…」

《発砲事件発生、至急現場へ急行しろ！滝沢!?聞いてるのか？応答しろ！》

「…」

「呼んでるぞ？」

「…」

「スマホ取り出すな！」

「…コーラでいいや、お前も好きなの飲んでいいぞ。はい、お金」

「違うだろ！！」

「おつりはやるからさ」

「そういう問題じゃない！」

「五百円のおつりじゃ嫌か？」

「…あのなぁ」

「一服して皆死んだ頃に行けばいいやん」

「一般市民が巻き込まれるだろ！」

「こんな時間に出歩いてるような奴は、死んでもいい奴だよぅ」

「馬鹿言うなよ！！」

「ここの現場だって離れちゃマズイだろ？」

「ここはもうすぐ応援がくるからいいんだよ」

「そっちに行けばいいのにな」

「ほら行くぞ」

「引きずるなよぅ」

「何で刑事やってられるんだ？」

「智には言われたくねぇ」

「こっちも敏夫だけには言われたくない」

『お～い』

･･･二人は現場へと急行した。

Fin