(三)

 翌日、野上は仕事に行った。この日は朝から雨が降っていた。昨晩の雨は止まず、ずっと降り続いていた。

 野上は、町内を東西に走る国道の修繕の現場を担当していた。しかし、この日は雨のため、やむを得ず会社の事務所で事務仕事をした。

 建設会社で事務仕事をすることができる人間は多くない。雇われている人間はほぼ建設作業員だ。事務仕事をするよりも体を使い土木作業を長年してきた人間ばかりだった。それは野上も同じだった。だから役所に提出する工事現場関連の書類などは経営者の奥さんや跡継ぎの若い社員がやることになっていた。しかしながら、その作業は滞っており、社長は雨でヒマをもてあました作業員に処理させていった。


(続く)

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