最終章「東雲火花」
ヴェルカンディアス城の広間で火花とアリアはピンク色の火花と死闘を繰り広げていた。2対1のはずが火花とアリアが一方的に攻められていた。
「あはは!ほらほら!不死のくせにそんな程度!?遅い遅い!」
桃色の鎧が青く変わり、凄まじい速さで二人を翻弄する。不死でなければ即死している攻撃を何度も受けているが、だからこそ二人は冷静だった。二人は剣で切られ、変化した槍で貫かれても思考は止めていない。
(どうしよう。全く追いつけない。アリアでさえ軽く受け流されている。うーん、わかんない)
止めてはいないが、答えは出ていなかった。
(死人の目、ここまできてなお冷静とはな。)
火花は次々と炎の剣や雷の矢で反撃するが、あちらの鎧がすべて弾く。受ける攻撃を何とかダークルージュがはじき返しても効果は見られない。圧倒的に戦闘経験と能力の実力差があった。
「死んじゃいなよ!延々と痛みが続くだけだよ!」
二人はほぼ同時に壁に吹き飛ばされて瓦礫の下敷きになった。小声でアリアに尋ねた。
「死ねないっつーの。ねね、なんかいい作戦ない?」
「あったらこんなところで瓦礫に埋もれているわけないだろう。そのダークルージュで攻撃は弾けないのか?」
「よく見てると弾いてるんだよ。弾いてもあっちの鎧が無力化してる。」
「白旗でも挙げて降伏するか?」
「バカ言ってんじゃないよ。あとちょっとで人間滅ぼせるんだから気合いれて。」
二人は無策のまま瓦礫から飛び上がった。その瞬間、戦慄した。一気に背筋が凍った。
「これ喰らっても不死でいられるかな?神の力と貴女がさっき私にぶつけてきた炎で作った火球だよ。こんな城ごとぶっ飛ばしてみよっか」
まるで太陽のように熱を帯びた巨大な火球が城を燃やし尽くしながら火花達に向かって落ちてきていたのだ。身体が蒸発するレベルで死んだら復活できるかはわからない。あの大きさではダークルージュではじく前にこっちの体が持たない。
「やっ、やばい!?」
「死人の目!?」
死を意識した瞬間、私の陰に潜んでいたフェンリルと同化した。意識が消え、心が闇に溶けていく。
「グオァァァアアアア!!」
「ふーん、神を討つ獣の力か。たかがそんなもので……」
黒い鎧を纏った火花は獣のような咆哮をあげ、火球へと突っ込んでいく。
「待て!死人の目!」
火球で燃え尽きる、かと思われた火花はなんと巨大な火球を真っ二つに切り裂き、それを身体に吸収したのだ。その姿にさすがのピンク色の火花も驚愕を隠せなかった。
「そ、そんな力まで!?」
「死人の目……その姿は…」
火球を吸収した火花の身体には、黒い鎧に炎が走る姿となっていた。偶然の産物か、それとも火花の潜在意識と無意識が生み出しだか、闇と炎が火花に屈服したのだ。
「さぁ、来い!!!」
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