私、人間を裏切って異世界を燃やし尽くすことになりました。Remake ver

風来坊セブン

第1話 「私、裏切り者になります」

 東雲火花(しののめひばな)17歳高校生です。部活は帰宅部、将来の夢は検討中です。そんな私は12月の雪が降った日、足を滑らせて転んで死にました。


 気がつくと私は雪しかない世界に一人佇んでいました。寒さは感じず、たった一人。


 ー生き返りたいですか?ー


「これ、雪じゃなくて灰だ。あの世って味気ないなぁ。」


 ー生き返りたいですか?-


「みんなごめんね。というか死ぬなら彼氏の一人でも作っておくんだった。」


 ー生き返りたいですかぁぁぁぁあああ!-


「うるさい!そんなアントニオ○木みたいに叫ばなくても聞こえてるよ!こっちは死んで意気消沈してるのわからないかな!……てか誰ですか?どこにいます?」


 さすがに独りぼっちの世界にいるのかと思うと寂しかったので、どこからか聞こえてくる女性の声に少しだけ安心した。


 ー私はメタトロン。秩序を保つ神です。貴女は正確に言えば死んでいません。元の世界から存在自体が別の世界へ移動しているのですー


「意味不。私になんの御用ですかメガロドン様」


 ー貴女にお願いがあるのですー


「厄介ごとは嫌だよ…?」


 ー異世界の人間達を滅ぼしてほしいのですー


「わーおマジ!?そんなこと言っちゃう!?私ただの女子高生だよ?無理に決まってるじゃん」


 ー今貴女の世界と、別の世界が重なり合おうとしているのですー


「へー。それで、重なると?」


 ー貴女の世界は滅びますー


「え、マジなの?どゆこと!?」


 ーマジー


「そ、それと異世界の人間滅ぼすのにどんな関係があるの!?」


 ー今異世界の人間達はその強大な魔法の発展により自然のバランスを崩壊させ、星自体の滅亡の一途をたどっています。その崩壊する世界を脱出し、貴女のいる世界へ侵攻しようとしているのです。-


「なんで私がその役目を?」


 ー異世界に行ける人間には適正があります。今まで何人か送りましたが、そのほとんどがこの役目を果たせませんでした。しかし、貴女は今までの人間に無い才能を感じるのですー


「なんの?」


 ー異世界を燃やし尽くす才能です。貴女が異世界を滅ぼせば貴女の世界も救えますー


「よし乗った!なんていうわけないでしょ!異世界とはいえ同じ人間でしょ?それを裏切れっていうの?話し合いとかさぁ。メタトロンさんが何とかできないの?」


「同じ人間、話し合い、その価値はすでにありません。それに私は女神。直接的な罰は執行できないのです。」


 突然目の前に日焼けしたような浅黒い肌の天使が現れた。この人がメタトロンらしい。


「さぁ、選びなさい。ここで貴女の世界が食いつぶされるのをただただ無様に見届けるか、それとも異世界の人間を滅ぼして救世主となるか。」


 メタトロンが右手を差し出し、私の答えを待つ。


 私はメタトロンの手を…。

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