卒業してから親友と

ケイキー

第1話 疎遠

彼のことは、今でも鮮明に覚えている。

いや、忘れるはずがない。


私たちは、大学時代の4年間を同じ学び舎で過ごした。


いいことも悪いことも一緒に味わった。学問に対する丁々発止の議論をし、夜通し将来の夢を語り合った。


卒業式の時には柄にもなく、男2人して本気で泣いた。

「卒業した後も一緒に酒を飲もう」、と固く誓って別れた。


全国のどんなところでも卒業式の時には見られるような光景だろうけれど。

当時の私たちにとっては大真面目で、切実なことで、そしてかけがえなく尊いことだった。



そして、感動的な別れから5年後。

私は会社員として多忙な日々を送っていた。


社会人1年目に何度か飲んでお互いの新しい環境について愚痴を言い合った後、彼とはほとんど会っていない。

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