昔から猫は船の守り神と崇められている。どんな船にも一匹は宿っていて航海の安全を守っているのが猫神様だ。最新鋭のミサイル搭載護衛艦「みむろ」でもそれは同じ。若手自衛官の波多野が出会った猫神様「猫大佐」も迷い込んでくる悪霊を払ってくれている。
そんな猫大佐は、見た目は可愛らしいが、口も態度もとにかくでかい。波多野を小僧扱いして、彼のベッドを勝手に寝床にしたり、艦長席を定位置にしていたりと傍若無人だが、そんな気位の高さも猫らしくて愛らしい。
猫大佐と世話役の幽霊・相波大尉が見える波多野には不思議な出来事が次々と起こり始める。悪霊退治の後始末で艦内の大掃除になったり、霧の中で旧海軍の幽霊船を目撃したり、真夜中の海で海の神様と遭遇したりと、海の上での非日常が好奇心をくすぐる。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)