31 閑話


 お化粧大好きラナ。

 服とあざとさは任せろのケルコ。

 お菓子作りの名人ポルル。

 そんな三人に、私、レインちゃんは言いました。


「ねぇ誰か、宮廷魔女になって」


 王様からの宮廷魔女の誘いを断ったら言われちゃったんだよね。

「それならこれという者を推薦せよ」って。

 だから、とりあえず交流のあるこの三人に声をかけてみました。


「え? やだ」

「嫌に決まってるでしょ。なに言ってるの?」

「そんなの、無理……」


 即答だったよ。

 ノータイム拒否だったよ。

 迷う素振りすら見せなかったよ。

 恥ずかしがり屋のポルルはそうなるかもって思ってたけど、まさか他の二人までノールックスルーとは思わなかったよ。ボールはどこまでも転がっていくよ。おいそれ誰かゴールしろよ。嫌がるなよ。


「ええ。いいじゃん。王宮通いだよ。貴族とお近づきだよ」

「いまでも十分知り合ってるし、一体何人がわたしの化粧品と化粧術を頼りにしてると思ってるの?」

「そうそう。あたしの服も超人気」

「……お菓子だけで手一杯」

「ぐぬぬ……」


 くそう、こいつら手に職を極めすぎてて地位的な上昇志向がないな。

 でも……まぁそうなるかなぁとは思ってたけどね。だから最初はサンドラ婆に押し付けるつもりだったんだけど、婆まで「お前がサンドラ継ぐんならええよ」とか言いやがる。やなこったい。


「それならレインがやればいいじゃない」

「そうそう。基本、何でもできるんだから」

「レインなら、お似合い」

「だめよ、私はアンリシア専用なんだから💛」


 ハートを付けて悶えると三人ともが微妙な顔をした。おい、そんな顔するな。


「いや……キモイ」

「うん、キモイ」

「レイン、似合わない」

「なんですと!?」

「いや、別に愛の形はお好きにどうぞだけどさ。……あんたがぐにゃんってしてるの似合わない」


 ぐにゃんってどういう表現さ!


「私的には『にゃん』ってしたつもりだけど」

「ああ、ぜんぜんだめ、ぜんぜん」


 あざとツインテールのケルコに完全否定されてしまった。


「『にゃん』っていうのはこういうことをいうんだよ!」


 勢いよく立ち上がったケルコが見せた『にゃん』に私は驚愕した。


「むむ、それはまさしく『にゃん』!」

「でしょう! せめてもこれぐらいはできないとね!」

「ぬう……こう?」

「違う違う! こうっ!」

「くぅ……こう?」

「だーかーらー」


 と私はケルコから必死に『にゃん』を盗もうと四苦八苦する。

 後日、その成果をアンリシアに見せたのだけど、黙って肩を叩かれてしまった。

 どういうことなんだろう?



※※※※※※※※※※


お読みいただきありがとうございます。

第二部やろうと思います。

ただいまプロット推敲中ですので、もう少しお待ちください。

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