第25話 シフィ姉ちゃんの深層思考の考察⑨
「なに、製作者の御人とは、会わせる気が無いということか?」
その発言と同時にコスタおじちゃんの
はー、またコスタおじちゃんが
そのコスタおじちゃんの凄まじい気迫の
この緊張した場から、少しだけ距離をとりたくなった私は、気話に気持ちを安らげようと視界を変えて周りを見渡してみた。
周囲に視界を映してみんなの現在の状況を確認してみよう。
この洞窟内の大広間の場所は、壁面が全て破壊されて魔物が
だから、この場にいるみんなはひとまず、ひと安心できてるみたい。
今は洞窟奥へと続く2箇所の洞窟通路前に各1名の騎士を配置しているだけで、他のみんなは、それぞれ違う役割をこなしているね。
2人のお姉ちゃん騎士が持参していた魔導炊飯機器を使い、簡単な調理をしていて、交渉の場の方には、見向きもしないで楽しそうにお喋りをしている。
なんだか、敢えて視線をこちらに合わそうとしない。
んーん、なんかちょっと変かな?
まーいいや。気にしない。気にしない。
はー私も仲間に入れて欲しいよ。
他の場所では、漸く素材の回収作業をしていた騎士等や、幻獣の守護者の面々も漸く素材回収が一段落したようで、今は順番に休憩している。
シフィ姉ちゃんは、童心に返り、自分が集めたモフモフ素材を山のように積み上げて、その中に埋もれてた。
素材の中からは、変なうめき声が聞こえてる。
こちらも軽く無視しとこう。
まーいつものことだ。気にしない。気にしない。
シフィ姉ちゃんのこれが、モフモフを与えたときの平常運転なんだから大丈夫。
だから、幻獣の守護者の他の2人も、全く気にしていないみたい。
その2人のギレン兄とイエラちゃんは、2人の空間をつくり、なんだか安らいだ雰囲気で軽口を言い合いながら、軽い軽食を取り、身体をやすめているもん。
そんな2人の視線は、話に花を咲かせながらも、こちらの交渉の行方が気になるのか、逐一視線を交渉の場に向けて、様子を心配そうに見守り、こちらに応援に行くか行くまいか、迷ってるっぽい。
ギレン兄がちょっと様子を見にこちらに来ようとしているようだけど、イエラちゃんが一人で待つのは、かなり怖いようで、必死に可愛らしく引き止めていて、その光景が何とも微笑ましく感じてしまい、ちょっとほっこりした。
ふう、ちょっと気分転換できたよ。
やっぱり、今後の対応が気になるから、しっかり交渉の行方を確認しとこう。
そして、再び視界を交渉の場に向けると、2つ目の提案を聞き、真紅の
うっひゃ──何これ──??
コスタおじちゃんの周囲に真紅の
ちょっと目を離したら、行き成りウネウネしてるんですけど........
キモイ!!キショい!!エロすぎだよ!!
コスタおじちゃん、ちょっと目を離したすきに、そっち系にジョブチェンジしないでよ。
そのコスタおじちゃんは、
「私の要望を簡単に切り捨てるとは、幼き身だが、まさにいい度胸だ」
そして、それと同調するように、
そうした中で、ラスレちゃんの後ろに控えていたセルディさんは、ラスレちゃんの真横に並び、魔導剣の鞘をつけたまま、魔導剣を構えてラスレちゃんを守ろうとしていた。
「父上、怒りを抑えて下さい」
グランさんの必死の進言も届かない。
そのグランさんは、腰に下げている魔導騎士剣の柄に手を添えて、いつでも剣を抜ける体勢をとる。
「流石は、アルスレグス伯爵令嬢と名乗るだけはある」
「感心したからこそ、この場で愚策を侵さずに、踏みとどまることができた」
「君が平民なら、あの言葉を吐いた時点で、その首から上が、この洞窟の地面に転がっていただろう」
コスタおじちゃんは、
「父上っ!!落ち着いて下さい」
グランさんの必死の進言も聞こえていない。
そのグランさんは、腰に下げている魔導騎士剣の鞘から剣を抜き、いつでもコスタおじちゃんを後ろから襲いかかれるような体制をとる。
「私は、直ぐに
「今回は、君の生まれた家柄に免じて、思い踏みとどまっただけだと、理解して欲しい」
切れやすいコスタおじちゃんは、
「父上!!言い過ぎです」
グランさんの必死の進言にも、全く耳を貸さない。
そのグランさんは、コスタおじちゃんの後ろに素早く移動して、もういつでも襲いかかれるように、魔導騎士剣を構えた。
「そして、君らもだね、ここがダンジョンの中だと、いい加減に思いだしてほうがよくないかね」
そう、言い終えるとコスタおじちゃんは、魔導騎士剣を見えない速度で
その瞬間、1本の魔導剣が音も鳴らさずに空中に舞い上がる。
ラスレちゃんの真横で、鞘に収まったままの魔導剣を構えていた
はっとしたセルディさんは、予備の剣をすかさず腰の鞘から抜き放ち構えたけど、コスタおじちゃんの
セルディさんの使い慣れた魔導剣は、私が渡した物じゃないから、自動帰還転移機能もついていないただの切れ味のいい剣なんだよね。
「父上!!いい加減にして下さい」
言うことを全て無視されたグランさんは、後ろからコスタおじちゃんの背中に向けて高速で魔導騎士剣を振り抜く。
うっひょ──殺す気満々まんじろうさんだよー
しかし、その振り抜く魔導騎士剣の軌道を読んでいたコスタおじちゃんは、信じられない速さで、その騎士剣の軌道から外れるような体さばきをして、騎士剣の柄に手を添えたまま、グランさんから、距離をとった。
こりゃー本当に凄いおじちゃんだよ。そりゃー王都から追い出されたのも、わかる気がする。
もー、少し雰囲気が良くなった交渉の場が、最初の交渉時よりも、かなり険悪な雰囲気だよ。
「父上、貴方は馬鹿ですか?」
「家臣の進言を全て無視するとは、貴方は本当に上にたつ人間ですか?」
コスタおじちゃんの鋭い眼光は、グランさんには、視線を合わせず、ラスレちゃんに視線を注いでいた。
グランさんの諫言も全く耳に届いていないようだ。
「──ラスレシア様、申し訳ありません」
グランさんは、コスタおじちゃんに視線を固定しつつ、対峙した姿勢のまま、忠義を尽くす守護騎士のように、ラスレちゃんの正面に素早く移動する。
そのラスレちゃんの身体全体からは、再び純粋な乙女しか見えない
その様子は、
グランさんは、忠義を尽くす相手を守り抜く姿勢をとりつつ、グランさんの後ろに幸福の笑みを浮かべるラスレちゃんに甘い声を掛けた。
「これからは、私がラスレシア様を、守り通します」
「ラスレシア様は、お気を確かにして、あの荒ぶる馬鹿父を静める言葉を投げかけてください」
「はい、わかりました、グラン様」
桃色に染まった頬に恋色の表情を浮かべた幸福絶頂のラスレちゃんは、鼻息をふんすと鳴らすかのように気合をいれて、幸福絶頂の波動を振りまきつつ、巨悪の権化のコスタドルおじちゃんに立ち向かおうとする。
その幸福絶頂の溢れんばかりの波動は、
そして、強化された
「ご忠告ありがとうございます、コスタドル様」
目の前で繰り広げらてた実践さながらの示威行動にも、ラスレちゃんは全く動じずに、貴族令嬢の笑顔の仮面の上に幸福絶頂の仮面も新たに装備して応戦する。
「
「私は1つ目の提案でも、お話したように、コスタドル様と敵対する意図は、ありません」
「敵対するならば、そもそも1つ目の提案は、していません」
「私は、コスタドル様の味方になれるように必死に考え、提案しているのです」
「もう一度言いましょう」
「私達にコスタドル様と敵対する意思は、全くありません」
「そこは、コスタドル様もご理解して下さい」
守護騎士の盾の中にいるラスレちゃんは、威圧的な視線や真紅の
ラスレちゃんを巨悪の権化から見守るようにそびえたつグランさんと、汗1粒も出さず、無心の心で戦いに挑み、気丈に振る舞うラスレちゃんの姿を目の前にして、私には2人が魔王に立ち向かう勇者と聖女のように、
そんな健気に頑張るラスレちゃんの気丈な姿に、私はやきもきしてて、もう凄く助けてあげたいけど、その場に私はいないから無理なんだねー。
ラスレちゃんは、コスタおじちゃんの威圧にも屈しないように頑張っているけど、私には、なんでそこまでしてあげるのか、全然まったくわかんなくて、チンプンカンプン??
グランさんが好きすぎるのは、見てたらわかるけど。
でも、グランさんとコスタおじちゃんは、家族とはいえ別人だから、コスタおじちゃんにそこまでする義理は、全然無いはずなのに、何故かそのまま突き進んでいく。
ラスレちゃんって、そんなに
私なら、こんな領主が言うことは、絶対に耳を貸さないよ。
もう、こんな怖いコスタおじちゃんを見てるだけで、じん麻疹が体中から出そうなぐらいに嫌だもん。
それに私は、偽善者じゃないから、困ってる人みんなを助けることなんかしないから。
偽善者よろしくみんなに救いの手を差し伸べてたら、神殿関係の人達に祭り上げられて、一生神殿に閉じ込められて、生活することになるってオロおじちゃんに教えてもらったもん。
だから、やんないよ。
もし、気が変わって助けるとしても、神殿関係の人達にわからないように、裏からこっそりするよ。
正面から、正々堂々と助けを求めてきたら、もう何が何でも断るしかないんだよ。
私がそんな考え事をしている中でも、映像は途切れること無く流れていく。
そんな中でも、ラスレちゃんに体中から溢れ出る多くの
恋の銃弾がかなり命中したようで、コスタおじちゃんの周りの
おー、凄いね、ラスレちゃんの恋の力は、やっぱり無敵だね。
おっコスタおじちゃんの、茹で
「そうであったな。済まない」
声もさっきの恨みを込めた感じの声じゃなく、幾分落ち着いた声音で謝罪を口にするコスタおじちゃん。
そのコスタおじちゃんの周りでは、透けて見える赤色と桃色の
コスタおじちゃんの謝罪の声を聞いたグランさんは、無言のまま真横に顔を振り、コスタおじちゃんを凝視しつつ、剣の刃がむき出しの柄を固く握り締め、そのままラスレちゃんの護衛につくように配置をとる。
グランさんは、どうもかなりのお怒りモードに突入したらしい。
そんなグランさんの後ろにいるラスレちゃんは、両目から恋愛好き好き光線を放ち、グランさんに何度も当てて、グランさんの恋愛比重値を上げるように恋愛光線を注ぎ込んでいるように見えた。
「頭に血が上ると、後先を考えられなくなるのが、私の悪い癖なのだ」
明確に自分の要求を拒否された、コスタおじちゃんは、憮然とした表情のままで、口調だけが少しだけ柔らかくなったが、まだまだ思う所があるようにみえるけどね。
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