「ナツのことば」 2020年 4月27日

夜、ベッドで絵本を読んで寝ようとしたら、「ヂーシーは?」と何回か聞いてきた。

何を言ってるのかわからなかったので、言いそうな言葉を言ってみた。


シーシー(歯磨き)? ううん。

しっし(おしっこ)? ううん。

ジュース? ううん。

じーじ? ううん。


何のことかわからない。

とうとう、喋らなくなってしまった。


最近のナツはこのパターンが多く言葉が通じないときとか、うまく喋れないときに、ダンマリになってしまう。

妙なところでプライドが高いのでこうなってるのだと思うけど、おはなしすることがプレッシャーになったり、嫌いになったりしたら嫌だな心配してもいる。

療育でも、他の部分の成長に比べると、もっと喋れたり、難しいことを理解できてもいいんだけどなあ、と言われた。


そんなこともあって、ここのところ、簡単な絵本を一緒に音読している(ナツは勉強と呼んでいる笑)。

3語の文を、てにをはも意識してリピートアフタミーさせる。

先に親が言って、はい、の合図でナツが言う。

なかなかうまくできなくて、諦めそうだったんだけど、途中でいいことを思いついた。

スマホでミラーモードにして動画を撮りながらやる。

基本的に、自分の写真や動画が大好きだから、撮られているだけでモチベーションも上がるし、たぶんカッコつけだからなんとか成功させようと粘れる。

それに成功したときに、その動画を何度も繰り返して見て楽しめる。


まあ、こんな手を使って、少しお話の練習をすることが楽しくなってきていたところだった。

ヂーシーに話が戻るのだけど、ここでナツも親も挫けてしまっては、勿体無いし、後退してしまうと思い、なんとか正解にたどり着きたかった。


なので、ヂーシーが何なのか教えて?と質問をしてみた。

食べ物? ううん。

飲み物? ううん。

ナツのもの? ううん。

ハルのもの? ううん。

ぬいぐるみ? ううん。


わからん…。


でも今回はやっぱり諦められなくて、次の手を思いついた。

よし、探しに行こう!それ何か教えて?と、ベッドを降りリビングへ。スタスタと台の前に行き何かを探し出した。そこには、眼鏡ケースがあった。

ああ、ケース!

これのこと?と聞くと、嬉しそうに頷くナツ。


これはね、ヂーシーじゃなくて、「ケース」だよ、と教える。

言ってごらん?「ケース。はい」

「しぃ・・・」

うまく言えなくて、黙ってしまう。

「ケース。だよ?あ、ケーキと一緒だよ。ケーキ、ケース」

「ケーキ、ケース。ケース、ケース」

言えた〜!

これなら明日からも通じるね!


ところで、ナツのもの?って聞いたのに違うと言っていたけれど、ナツ的には嘘を言っていなくて、眼鏡ケースはメガネさんのおうちだから。

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