エッチなことをしないタイプのサキュバス

かたかや

エッチなことをしないタイプのサキュバス

「俺ホイホイじゃんすげえ」

「サキュバスだからね。当たり前だよ」


 巨乳ナースがしたり顔で腕を組んだ。

 オレの好きな女の子に化けられるらしい。俺ホイホイじゃん。


「じゃあ俺の知らない俺の性癖も表現できるのか?」

「できるけど、してあげない」

「なぜ!?」

「パワーを使うのよ。パワーを差し出したら表現してあげる」


 サキュバスの求めるパワー? そんなの決まっているじゃないか。


「……わかった。いくらでも持って行ってくれ」

「いいのね? じゃああなたのPCの中にあるオカズから三割を持っていくわね」

「どうしてだよッ!?」


 サキュバスが目を丸くする。


「だって、それが私のパワーになるもの……人の表現力、妄想力、それが私たちサキュバスの力の源……」

「違うだろッ! もっとこう……エッチなことして補給するタイプの悪魔だろうお前たちは!!」

「はアッ!? バカじゃないの!? よく考えてみなさいよ、エッチなことを表現するために、エッチな行為が必要って自転車操業じゃないの!! 21世紀のアニメ業界でもモンスターハンターでもないのよ!?」

「だからって、なんで、オカズから持っていくんだ!? それこそ俺から妄想力を奪う行為じゃないか!?」

「なにいってるの、目の前にないほうが妄想は捗るわ。想像してごらん……女子高生のスカート」


 サキュバスは祈るように目を閉じる。


「女子高生のスカート……」


 俺も目を閉じる。


「風が吹いて……キャッ!」

「キャッ!?」

「間一髪手で押さえたわ!!」

「畜生っ!!」

「果たして本当に畜生かしらッ!?」

「何ッ!!??」


 目をむくオレ。


「そのスカートがめくれて、パンツの色や形を知った次の瞬間、そのパンツは確定されたパンツになるわ」

「完全に把握した。シュレディンガーのパンツ……確定しない未来にこそエロスが詰まっている。それは赤ん坊も同じ。つまり性行為がエロいのは無限の可能性の分岐点、いや、要であることにこそ本質があるのか……」

「いえ、パンツをはいてない場合もあるわ」

「ノーズブリードエクスプロージョンッ(鼻血爆発)!!!!!!!!!!!!」

「まあつまりそういうこと。オカズなんていらないのよ!!」

「オカズなんていらなかったのか……では、俺が表現者の側に回ったら、無限にエロい格好をしてくれるのか?」

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