第16話 遊びの定義
「そもそも遊ぶって何?」
自分から言い出しておいて、それを俺に聞くのか.......。
「ショッピングとかカラオケとかじゃないのか?」
「それなら、前に私の服を買いに行ったのも遊びに行ったことになるの?」
みゆの言う前にというのは、みゆを初めて我が家に連れてきた時の事だ。あの日は、みゆはなんの荷物も持っていなかったから、着替えの服を家の近くのショッピングモールに買いに行ったのだが.......確かにショッピングではあるのだが.......あれは、遊びに行ったといった感じでは無いよな.......。
「あれは、違う気がする.......」
「そう、難しいのね.......」
「あとは.......ご飯を食べに行ったりとかか?」
ご飯を食べに行くって遊びに行くことになるよな? なんか、違う気もしないでもないけどあながち間違いって訳でもない気がする。
「誰かとご飯を食べる事が遊びなら、私と和哉くんは最近よく遊んでるってこと?」
「うーん.......多分だけど、大事なのは考え方じゃないか?」
今思いついたことを適当に言ってみただけど、意外とこれが正解な気もする。
「考え方?」
「例えばだけど、食材を買いに行く時と自分の欲しいものを買いに行く時の気持ちってなんか違うだろ?」
「確かに.......私の場合だと、本を買いに行く時はワクワクするかも」
「多分だけど、そのワクワクを共有するのが遊びってことなんじゃないか?」
男子ならゲームや漫画、女子なら服や化粧品など、それぞれ興味のあるものを同じ興味を持つ他人と同じワクワクを共有しながら買い物するのが、ショッピングに行くというあそび方なんだと思う.......知らんけど。
「なるほどね.......ポジティブな感情を誰かと共有するということが遊びの根底になっているということね」
「多分、そんな感じなんじゃないか?」
なんか、哲学みたいになってきたけど要するにそういうことなのだろう。
「それなら、和哉くん」
「なんだ?」
「お寿司は好き?」
「まぁ、好きだが」
「それなら、お寿司を食べに行きましょう」
なるほど、みゆはお寿司が好きなのか。それで、俺も寿司が好きならお互いにワクワクできるし、それを共有することも出来るだろう。
「それなら、今夜の晩ご飯は決まりね」
「だな」
1つ問題があるとすれば、お寿司って高いイメージがあるんだよな.......。まっ、今日くらいはみゆの我が家への歓迎会という意味合いも含めて甘んじて寿司代を出すとしよう.......。
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