ミミックはそのうち、ネズミを見るだけでは退屈を紛らわせなくなった


 だからといって、彼自身、自分がどうしたいのか分からなかった


 宝箱のフタを「ぱっかん、ぱっかん」と、鳴らしてみたが


 ネズミが驚いて逃げていくだけなので


 ミミックは、ますますどうしていいか分からなくなる


 なんせ生まれてから、ずっと一人だったから


 自分がなにを考えているのかすら、よく分からなかった


 それで結局、彼がどうしたかというと


 その、喰っちまったんだよな


 ネズミを、片っ端から、残らず


 なんでそんなことをしたのか、彼自身もよく分からなかった


 とりあえず腹が膨れたので、ちょっといい気分になった


 だけど次の日にはまた「ぱっかん、ぱっかん」と宝箱のフタを


 開けては、閉じて


 開けては、閉じて


 その繰り返しで、一日が終わる

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