モブ兵VS来儀

@Aotetu_036

第1話

二波めの隊から緊急の要請が入った。

『ほぼ、壊滅至急応援』との事で俺たちは直ぐに武器を持って立った。

隊仕様の車に乗って駆けつけたビルには、二波めに入った隊の騒がしさがうそのように静まっていた。

俺が訓練を受けてた時に絶対に行きたくないと思っていた2番隊...。騒がしさが表に出ていて強そうに見えないが二番隊ほどの精鋭はいないとか言われてた程だし...。

余計なことは考えるな今は前を向け、

初めに入った部隊が突き破ったドアを潜り、

残骸の中を歩く。

黒いスーツの刀を持った屈強な男の死体や、自分の部隊のワッペンが着いた腕が落ちていた。

俺たちはまだ隊の中では訓練生上がりでこの現状を見た隊員の何人かが発狂したり、吐いたり、泣き出したりしていた。

込み上げる胃のものを急いで胃袋にもどし、前だけを見る。恐怖はすぐそこにある。それに付きまとう死だって近くに...。


その瞬間、足を掴まれた。

見ると血だらけの1番隊の分隊長が掴んでいた。

最後の力をふりしぼり、口を動かしている。

『あいつ.....あいつだけは....戦っては行けない.....』

「あいつ?あいつって誰ですか...?」

『鳳仙会の.....』

そう言いかけて揺っていると、分隊長の頭が吹っ飛んだ

血飛沫をあげながら...。目の前を黒い玉が通り過ぎる。

焦って分隊長だったものから離れ、目線をあげると

ワインレッドのシャツに黒いベストを着てる男??が視界に入った。カチンと黒い玉を銀色の物に戻す。

あれは昔のおもちゃの『ケンダマ』って呼ばれるやつだよな...。

奇妙だと思ったのはそれだけで終わらなかった。

やつはお面をしていた。黒狐の面。

汗が止まらない、本能が危険を示している。

ーーこいつは危ない、俺じゃ叶わないーー

そう思考を巡らせていると、黒狐の面は喋りだした。ゾッとするようなこもった声で

『だから、ボスの邪魔をするなって言ったんですよ。こうなるから。』

何を言ってるんだ...片腕を消されたやつの死体をみてもなんとも思わないのか???

こいつの思考が...読めない。震える体を最大限に抑え込む。

「お前は...誰だ....」

『僕?...名乗る必要なんてあるのか?どうせ死ぬやつに』

そう黒狐の面の男は言うと、黒い玉と銀色の筒を繋ぐ糸をもっと振り回し始め、ヒュッと投げてきた。

「ヒッ?!」

避けると後ろにあった黒机が木っ端微塵になった。

このケンダマ...普通のじゃない...殺人用に改造されているんだ。

『おや?、新人さんの割にはいい感じで回避しますね。早くしないとボスに追いつかなくなっちゃうんですけど、そろそろ寝てくださいねっ...!!!』

そう言うと糸を駆使し、玉を俺の顔めがけて飛ばしてきた。

逃げろ、逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろにゲロにゲロにゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロ!!!!


ーーーゴッーーーー



ーーーザーッザッサッーーーー

ーーー繰り返す第3分隊!応答せよ!ーーー

ーーー第3分隊!応答せよ!!!ーーー


『...あ、もしもし?鳳仙会の者ですけど、こんな雑魚寄越したところで死人増やすだけですよ?

もっとマシな、更に戦いがいのある人連れてきてくださいね。このままじゃ、部下の人達の『頭潰す』だけで時間もったいないんですよ。』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モブ兵VS来儀 @Aotetu_036

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る