ペンゲーム

あんうぇい

第1話 開幕

「今の毎日に不満はない。こんな日々が続いて欲しい。」高校3年になった俺江田極夜は恵まれた人間だった。高校では陸上部に所属していて、インターハイに100mと走高跳で出場している上に学力は全国トップクラスで、東大受験をするつもりである。彼女はいないが仲のいい男友達が多くいて、裕福な家庭で親の愛情も十分に受けて育ったと思う。今は大学受験と入学後に起業するために毎日忙しく奮闘している。「また後でな。」いつもつるんでいる瀬戸と家の前でわかれる。

親はまだ仕事で家には帰っていないため、自分で家の鍵を開け中に入る。食卓の上には「勝手に何か食べなさい。」との書置きがあるがこれは放任ではなく、信頼されている証拠だ。自分の健康ぐらいは自分で管理できるだろうという心地の良い信頼だ。だが俺はそんな信頼は無視してカップ麺に手をつける。

北海道限定の焼きそば弁当だ。これは実に美味い。焼きそば弁当(やき弁)を食べ終えて風呂に入る。一日の疲れを取る最高の手段である。30分ほど湯船に浸かったった俺はボーカロイドの曲を口ずさみながら風呂から出てパソコンの電源をつける。瀬戸とフォート〇イトをするのである。このゲームはちょくちょく大会に出るほど好きでやりこんでもいる。2時間ほどプレイした後時計が深夜の12時を回っているのに気づいた俺は電源を落としベッドに潜り込む。「喉が渇いたな。」水を飲みにベッドから出ようとしたその瞬間突然視界を失った。パニックに陥りそうになる。人間は普段当たり前にあるものを失うとまともではいられなくなるものだ。だが俺はそのパニックを理性で押し殺し状況を確認する。が、体が動かない。感覚はあり力も入るが動かない。金縛りか?そう考えた瞬間体に浮遊感を覚え次には軽い衝撃が背中を襲った。「痛ッ!」身体の自由は戻っているらしく、背中を擦りながら立ち上がる。当たりを見ると見たことの無い部屋だった。この部屋に他に人はいない。目の前にはドアがある。何も分からない状況で不用意に動くのは得策ではない。そう考えているとどこからか、「ドサッ」という音が聞こえてきた。この部屋にいても何も状況は変わらないと判断した俺は身構えながらもドアを開け外を覗く。そこは9角形の部屋になっており中央には人影がありさらに身構える。「何もしないよ。」その人影は男であるらしく、肩をすぼめながら俺に言った。俺は男には答えず、ソイツを観察する。足目の髪型で整った顔で制服を着ている。身長から見ても高校生だろう。武器などを持っているようにも見えない。「入っておいでよ。」危険はないと判断した俺は素直に入っていく。「ここは?」

「分からないよ。」予想どうりである。「お前は?」「僕は新見真。さっきまで家にいたんだけど急に動けなくなって次の瞬間にはあそこにいたよ。」とひとつの部屋を指さす。

「君は?」「俺は江田極夜。お前と事情は一緒だ。」9つの部屋があるところを見ると俺たち以外に7人の人間がいるのだろう。「とりあえず全てのドアがあくまでは何も起こらないだろうね。」と新見は言う。「ドサドサッ!」ある程度の重さを持ったものが落ちる音がする。「君が来た時もこのおとがしたよ。」あの時の衝撃は落下した衝撃だったのか、とひとりで納得する。1分ほど後に驚くことに全てのドアが同時に開いた。各ドアから1人づつ。男4人、女3人がでてきた。「なんなのこれ?」「どこだよここは?!」などと自分たちの不安を言葉として口々に発散させている。そこに新見が落ち着いた声で「君たちも急にここに連れてこられたんだろう?」といった。「そうだがお前たちも全員そうなのか?」と1番大柄な男が言った。

「そうよ。」とすらっとした体型の女が言う。他の全員がそれに頷き否定するものはいない。「よくある話みたいに殺し合いでもやらされるんでしょうか?」と、眼鏡をかけた170センチほどの男が言った。有りうる話だ。こんな状況で何も起こらずに帰れるという方がおかしな話である。次の瞬間「トンっ」という何かの落ちる音が再び聞こえた。

しかし今度は軽い音だ。音の方向を見ると、万年筆が落ちている。「何?!」と小柄な黒髪ロングの女が怯えながら言う。部屋中に一瞬で緊張が走る。するとペンはひとりでに動き始め床に文字を刻み始めた。本当に理外のことが起こると人は言葉がてないらしく誰も声をあげない。【ルール説明】まず万年筆は床にそう刻んだ。

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ペンゲーム あんうぇい @anway

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