ナイフの男。崩れ落ちる。

「後は」

私が、ナイフで死なないと。相討ちにならなければ、街に平和は訪れない。

男の手。固く握られていて、ナイフが全く動かない。

「しかたないなもう」

死ねば、同じか。拳銃。

「あれ」

ひしゃげている。最後の一発で、壊れてしまったらしい。

「私と同じだね」

拳銃も、死んだ。

後は私が、死ぬだけ。

スーツの胸ポケットから、予備の拳銃を出した。頭に向ける。

倒れているナイフの男に、もたれかかる。

「ひとりじゃないよ。私も今いくから」

引き金を、引いた。

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