第218話

……であるか?……


 大神様は再び、大きく溜め息をお吐きになられた。


……さてもの申すが通りであるなぁ……全くさかしうて私は敵わぬ……


 大神様は、一拍お空けになられる。


……は絶対そなたは、この過酷なる重責を担うが可能なる者であると譲らぬ……ゆえに間違い無いゆえ私に試せと申したのだ……私はと違ごうて、ちまちまと致すは性に合わぬのだ。するとは、どんどんと勝手に致して……そなたは実に好いものを持っておる。ゆえに青龍が、この様に小さき国の天子に抱かれたのであろう……ならばをこのまま現世で、いつまでも勝手をさせる訳にも参らぬ。今上帝よ。これも天意であるゆえ不憫であるが、大青龍を惹きつけたも、瑞獣の妃に目を付けられたも、そなたの運命さだめと諦めて重責を担うてくれ。……まことそなたには哀れみしかないが、そなたがの婿である事で、多少気が楽である。……は実に身勝手ゆえ、婿である以上の勝手は諦めてもらうしかない……実によかった良かった……


 大神様はそう言われると、その眩いばかりの光りをそのままに、スゥーとお姿をお消しになられた。

 どうやらお妃様のご勝手は、大神様すら明けてお通しになられる。ゆえに御寵愛の瑞獣と、云われるのであろう……。

 そう納得して今上帝は身をもたげ、深く頭を垂れてお見送りをした。

 体は物凄く軽かった。

 そして瞼も重くはない。

 果たして先ほど青龍は、これから如何しようか、と言っていたが未だ暫く今上帝に抱かれている様だ。


 ……一体何処から試されていたのだろう……


 そう思ったが、どうでもいい事だ。

 胎児の頃からか……はたまた碧雅と出逢った時からか……それとも……。

 御神刀が現れてからか……。

 今上帝はそうお考えになられ、立ち上がられた。

 何も無い暗闇の中、今上帝はただ歩をお進めになられる。

 何も見えない真の暗闇の中……ただ足を一歩ずつ差し出して進む。

 それしか、なす術はないのだから……。

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