第185話

「そなたは実に好いヤツだが、少し解らんちんで困る……なぜそなたが巫女でもないのに、神受けの巫女なのだ?少女でもないのに、依代の少女なのだ?」


「あー?それは例えで」


「例え?……例えばの例えか?……で?何故巫女及び少女なのだ?」


 朱明は?と慌ててしまう。


「いえ、でございます」


 すると再び天狗様が、百面相を作って思考を巡らせる。


「天狗様。朱明様は神受けとか依代の様な、神が朱明様の身をお使いになられて、天意を行われるのかと……」


「如何にして、そなたの身を神が使うのだ?」


 天狗様がむくれる様に言から、ちょっと可愛い。


「あー。主上様の青龍を、眠らせ様と致しました折に……」


「げっ?そなた大青龍を、眠らせ様と目論んだのか?大それた事を考える者である」


 とか言って、ちょっと引き気味だ。

 ……いやいや、それって天狗様とて知っているじゃないか?

 貝耀様を鍛えるとか言って、カッコ良く去ったじゃないか……


「冗談だ冗談……青龍は再び眠っておる様ではないか?大成功大成功」


 天狗様は、なぜか親指を立てて言った。


「はぁ……その折に私は意識が飛びまして、となり勝手に体が動き、勝手に口が唱え……」


「ふむふむ……それを神受けと?依代と?」


 天狗様はマジマジと朱明を見つめて、カッと眼を見開いた。


「阿保か?」


「……いやしかし、貝耀様が八百万の神様方が、お越しであられたと……」


「当然よ。力のある者に神々は、意が合えば手助けを致す。しかしながら、神達がそなたに降りて事を成すなど……」


 天狗様は呆れ果てた様な、小馬鹿にする様な視線を向ける。


「阿保か?よいか?八百万の神達が、そなたの力に動かされたのだ。式神とか申して下級の神を使う、とか宣う輩がおるが、下級も上級も神は神だぞ、高々のお主達にその違いが解る訳が無かろう?神を使える訳が無い。神が使う者は存在致すがな……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る