第93話
今上帝の
「
狩衣姿の男の姿に、瞬時に伊織は例の邪道陰陽師だと察して、慌てて視線を母屋の中の今上帝へ向けた。
すると煌々と金色の瞳を輝かせて、今上帝がこちらを見て笑みを浮かべている。その不気味な笑顔に、伊織は身動きが取れなくなってしまった。
「……そなた……」
今上帝の笑顔が恐ろしい……。獲物を見つけて、甚振るを悦とする獣の様だ。
背後に
そして天空で孤を描いていたかと思った刹那、閃光となって陰陽師に襲いかかったかと思った瞬間、
煌々と輝く光の中、法皇が陰陽師を庇って身を貫かれ、呆然とする陰陽師を突き飛ばして、その輝く光の中から押し出した。
「……今上帝よ。暫し……暫しもう少し語ろう……未だそなたに、最愛なる皇后を仕留めた話しを致しておらぬ……」
法皇はそう御言いになられると、一瞬身を屈められた。
「兄君様……」
陰陽師はそう叫ぶと、跪く法皇に駆け寄ろうとして、それを法皇によって制された。
「
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