こころのなかの。

葉月 僅

「   」声にできないこと。

 頭が悪いことは、自分でよくわかっています。


 要領が悪いことは、自分でよくわかっています。


 時間の使い方が下手なことは、自分でよくわかっています。


 だけど、いざ頭が悪いと言われれば傷つきもします。


 傷ついていても、気にしていないふりをするけれど。


 まるで自分の分身のように、おなじ要領で、同じ時間の使い方ができると思わないでほしいのです。


 傍からみたら、頑張っているように見えないことはなんとなく分かっています。

 

 分かってはいるけれど、自分なりにでも頑張っていたことを、その成果も見ずに、本当に頑張っているのか、なんて聞かれて否定されても困ってしまうのです。


 その頑張り全てが無意味でくだらないものだと、無造作に投げ捨てられたようで、とても痛くて苦しいのです。


 自分の意見をずっと並べていく―――否、頭ごなしに叱り続けられても、お互いに辛いだけなのです。


 たとえ、貴方がどんなにヒステリックになりながら自分の「計画」を押し付けようとして、それが上手くいかなくて怒っても、顔色ひとつ変えずに、冷静を装って聞いていても。


 いたい。

 つらい。

 くるしい。


 おねがい、もうやめて。


 ずっとこの思いだけが、表面には出ないで、私の中でぐるぐる回っているのです。


 顔に出さないから何とも思っていないわけではありません。


 本当は、その場で泣き崩れてしまいそうなほどに、精神はぼろぼろに砕かれて、治しようのない欠損ができているのです。


 なので、おそらく、自分を保つために叱られているときも、全てを否定されてもけらけらと、へらへらと笑ったのだと思います。


 自分でも、笑ったことには驚いたし、少しだけ怖かったけれど。


 その場では泣きません、泣けません。


 ひとりになった瞬間に、声をあげることはできずに、ただただ涙をこぼします。


 ここで、やっと泣くことができます。


 泣くこと自体は嫌いです。


 目が痛くなるし、塗ったばかりの化粧水なども涙と一緒に落ちてしまいそうで。


 でも、泣くこと以外に、一人になった時の精神を保つ方法がわからないのです。


 友達になんて甘えていられない。


 だって、友達も大変だと思うから。


 自分に甘くするなんてもってのほか。


 もう甘やかしたりはしません。


 大好きなゲームはやめましょう。


 夢のための活動も控えましょう。


 でも、ひとつだけ、この答えを貴方は教えてくれますか。





















「夢を蔑ろにして創る将来は、幸せですか」

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こころのなかの。 葉月 僅 @karasudaki_ruiha

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