第68話 『大将の正体』 その1


 初代理事長の次男さんは、必死にタッチを求めて、そこらあたりを、まさしく、血を吐きながら、のたうち回りました。


 しかし、あまりの、圧倒的な、まりこ先生の強さを目にした怪物人類たちは、躊躇したのです。


 次男さんは、それはもう、強者として知られていたからです。


 長男さんは、威張ってはいましたが、次男さんに、試合で勝ったことがありませんでした。


 『ゆけ。我が子よ。』


 初代理事長さんは、長男さんに言いました。


 『いや、もはや、父上の出番かと。』


 長男さんは、あっさりと言いました。


 『ぼくには、後を継ぐ責任があります。』


 初代理事長は、そんな、長男さんを、寵愛していました。


 可愛くて、仕方なかったのです。


 だから、言いました。


 『ふん。よかろう、たしかに、早く片付けなくては、ならんな。あのような、破廉恥な教師は。』


 それで、息も苦しげな次男さんの手を、あたかも、叩きのめすようにして、睨み付けながら、タッチをしたのでした。


 この判断が、間違いだったのです。


 いや、誰が立っても、まりこ先生には、勝てないかもしれないのですが。



        🐉


 

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