第6話「風の谷のナウシカ」
「映画館でジブリを見よう」というフェアがやっていましてね。今回はその第二弾です。
「風の谷のナウシカ」
見飽きたくらいの映画のようですが、ラピュタほど頻繁ではなく、しかもガキの頃に中途半端に見た覚えがあるので、改めて見ようとは思わない作品だったりもします。
せっかくの機会なので、映画館で!
ハヤオ……
ハヤオ、すげぇぜ。さすがだぜ。
2020年の今見ても、まったく古くない。
そりゃあ舞台が未来の話なんだから、ストーリー的に古くなりようがないんだけど、スターウォーズですら今見たら古臭く思えるのに、ナウシカは逆に新しいまである。
機動戦士ガンダムの映画版をもし映画館で見たら、そこそこ粗さが目立って、あぁまあしょうがないよねって気分になるだろうが、ナウシカにはそれがない。
なんなら、はるかに金もかかって、技術も上がってるだろうもののけ姫よりも映画館で見た時の迫力は上だったと思う。
なんといえばいいのだろう、絵の迫力と言えばいいのか。
もはや現代社会において、すべてがセル画で書かれたアニメーションを見ることはないのだろうが、ナウシカはセル画ならではの良さっていうのが感じられる作品なんだなあって、改めて思った。
これは映画館で見たからこそ言える。
特に王蟲の迫力は、セル画で手で書いてるからこそ生まれるのではないだろうか。
王蟲とラピュタの祟り神はほぼ同じような役目を持っている一方で、祟り神はデジタルを駆使して描かれた絵なのだと思うが、やはりそれでは王蟲の怖さ、そして美しさに勝てないなと思った。
あれはセルだから生きる、セルゆえの美しさがある。
ナウシカっていうのはいわば、美術品がそのままアニメーションになったような作品なのではないか。
あらゆるシーンが美しく、かっこよくて、不気味である。
あとは、何よりナウシカの美しさ。
映画館でアップになった時が何より美しい。そして1980年代を感じさせない造形で、古さを感じさせない。そもそもジブリ作品は、絵を見ればこれがジブリってわかるくらい特徴的だから時代に左右されないのだろうけれど。
改めて、映画館でみるナウシカは、どのアニメのキャラより、美しくて、かっこよくて、りりしくて、可愛いように思う。
今思えば、強いヒロインっていう構図は、ナウシカから始まってないだろうか。
1980年代まで、強い主人公は男であった。
アトムに始まり、マジンガーゼット、北斗の拳、ドラゴンボールと、強い主人公は男でなければならなかった。女の主人公は、魔法を使ったりで敵を倒したりはするけれど、強さの象徴ではなかった。
最強と聞いてミンキーモモを想像する人はいないだろう。
気が付けば現代のアニメや、ゲームの主役は女子になったが、むしろ女子にしなければグッズが売れないから仕方ないのだろうが、ナウシカは限りなくその走りの存在ではないだろうか。
80年代の強い女子と言えば、当時の女子プロブームも無視はできないのだろうが、少なくともアニメ業界に影響は与えていまい。
そういえばナウシカのフィギュアとかってあんま出てるイメージないけど、ナウシカ1番くじとかやったら売れそうだけどね。俺は買うぜ。
さてナウシカというキャラの話はさておき、全体についてみていく。
ナウシカと言えばマンガ版がこれまた、とんでもない作品で、本当にとんでもない作品で、まあよく個人の脳の中にこれだけの世界観を作り上げたよっていうものなんだけど、映画はその世界観をよくたった2時間に落とし込んだよという作品に仕上がっている。
切り取り方が見事で、あのあとの続きがあるとは想像もできない作品に映画は仕上がってる。
本当にお見事。
でもマンガ的にはあれは序盤も序盤で、むしろマンガ版はあそこからがすごい。
ただ、非常に難解な作品であり、少なくとも子供が見て楽しめるようなものではない。
だから、あそこで作品を斬ってる宮崎ハヤオという男は、本当にどういう作品を見せたら観客が満足するかというのをよくわかってる男なんだなあと思う。
天才だ。
だってマンガであそこまでの作品を作ったなら、ふつう全部見せたいっていうのが原作者の本能だろう。
監督が別なら、原作のいいとこどりするだろうけど、監督権原作なのにさ。
それを子供の目も意識して、劇場映えするところだけ切り取っている。
すごいなあ。
あぁでもそもそも、マンガと劇場版のどっちが先か知らねぇや。
※追記、マンガの完結は映画よりはるかにあとの模様
とにかく、ナウシカはもののけ以上に映画館で見るべき作品、もののけよりもテンポが良くてあっという間に2時間が終わる。エンディングも、短くていい。何せくっそながいスタッフロールがないんだから。
だからね、万人に受けなくていいからさ。
ナウシカ2見せて。
本人がとらないなら、庵野に作ってもらえばいいからさ。
ナウシカ2が見たいよー。
できればすべてセル画でやって……それは無理だな。
もしかするとすべてがセル画のアニメを劇場で見るのはもう今後ないかもしれない。ぜひ、みんな劇場で!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます