The Outer Worlds: Spacer's Choice Edition

 Epic Gamesにて期間限定無料配信していた"The Outer Worlds: Spacer's Choice Edition"をプレイ。


 "Spacer's Choice Edition"というのは、"The Outer Worlds"本体にDLCシナリオ2本を追加し、様々なバランス調整が行われた、本作の最終バージョン。

 今からこのゲームを買う人は、基本的には"Spacer's Choice Edition"を買うことになる。



 本作はObsidian Entertainmentが開発した主観視点RPGで、そのために"Fallout"シリーズと雰囲気がよく似ている。


 Obsidianは"Fallout"、"Fallout 2"を開発したBlack Isleの元開発者が多く在籍するメーカー。"Fallout: New Vegas"の開発を手掛けている。


 そういうこともあって、"The Outer Worlds"は、かなり"Fallout: New Vegas"に近い雰囲気のゲームになっている。スペースオペラ的な"Fallout"だと思えば、だいたい合っている。



 本作の舞台は、ハルシオンという植民星系。ワープドライブが発明され、人類は地球からハルシオン星系へと移住したが、ある時、地球と連絡が取れなくなってしまう。

 地球からの物資輸送が途絶えたことで、星系全体が食料不足に陥っており、人類滅亡の危機に立たされている。


 プレイヤーは、宇宙船「ホープ」の中で70年間冷凍冬眠させられたまま放置されていた人物、という設定になっている。

 ホープは地球から優秀な人材を募ってハルシオンへと送り込んだものの、途中で事故に遭って座礁。

 ハルシオン・カンパニーの評議会は、ホープを放置することを決定し、何十年もそのまま放置された。


 しかし、とあるマッドサイエンティストが、ホープの人間を目覚めさせることこそハルシオンの危機を救えると信じ、ホープに乗り込んで、なんとか1つ、カプセルの奪取に成功する。それがプレイヤー。



 プレイヤーは、基本的にはマッドサイエンティストの手助けをしてホープに放置された人々を目覚めさせるために動くことになるが、このマッドサイエンティストを評議会に売ることもできる。


 評議会は清々しいほど腐っている上に理事は権力欲まみれの無能か狂った無能しかいないので、普通の人はたいがいマッドサイエンティスト側に付くと思うが、あえてそんな評議会側について人類の将来をめちゃくちゃにしたいというプレイヤーのニーズにも応える自由度の高さが本作の特徴。


 クエストの解決方法も、たいがいはプレイヤーが望んだ通りに解決できるようになっている。

 会話すらせず全員ぶっ殺してクリアすることも可能だし、逆に全く銃を抜かず、舌先三寸で人々を丸め込んで解決することも可能。


 この手のゲームのクエストでは、しばしば二者択一を迫られることが多い。AとB、どちらを生かし、どちらを殺すか、とか。どうやっても両立は不可能で、プレイヤーはどちらを殺すかを選ばなければならなくなる。

 しかし本作では、プレイヤーの行動や能力次第では、AとB、両方生かしたまま解決できる場合のほうが多い。どうやっても和解なんか有り得そうにないくらい激しく対立している組織同士でも、プレイヤーの説得スキルをゴリ押しすれば、和解を成立させることができたりする。


 と同時に、両方殺すという選択もある。

 本作では、不死属性の付いているキャラクターは存在せず、射線さえ通れば全員殺害可能となっている。

 ストーリーの都合上、そこで死なれると困る、という場合のみ、防弾ガラス越しで話しかけてきたりするが、行動次第で敵対は可能で、その後殺せる機会はあるので、そこまで気にならないだろう。


 自由度の高いRPGでも、ここまでやらんだろうというくらい、プレイヤーの思い通りにクエストを解決できるのが、このゲームの最大の長所。



 とにかくこのゲームでは、プレイヤーに道徳観を押し付けることがない。プレイヤーの行動や選択が善か悪かは、本作において全く重要視されない。

 あるのは利害関係だけ。プレイヤーの行動が、組織にとって利益なら評価を得るし、損害を与えれば不評を買う。

 しかも、バレなきゃ不評は付かない。仮にある組織に損害を与えたとしても、それがバレない形で行われた場合は不評は付かない。

 犯罪行為に関しても、バレなきゃOK。いくら物を盗んでも、バレなければ不評は付かない。


 世の中のほとんどのゲームは、なにがしか開発者の道徳観を押し付けてくるものだが、これだけシナリオに押し付けがましいところがないゲームは珍しい。

 この辺が、元祖"Fallout"や"Fallout: New Vegas"とよく似ている。



 難度に関しては易しめ。序盤だけややシビアだが、そこを乗り越えれば、特に行き詰まるところもないだろう。

 どこでもセーブ可能なので、とにかくイベントの前にはセーブしておけば、安全に何度でもやり直しできる。

 仲間も、体力が尽きても死なないし、味方誤射によるダメージもないので連れていれば連れているだけ得になる。仲間が気に入らない行動をプレイヤーが繰り返すと離脱することがあるらしいが、よほどめちゃくちゃしない限りはたぶん離脱しないだろうと思う。少なくとも、盗みなどの犯罪行為に関しては好感度に影響しない。



 最高難度のスーパーノヴァだけは、ゲームの仕様が大幅に変わる。

 ファストトラベルに制限がかかり、手動セーブは船の中でのみ可能(オートセーブは機能する)。

 仲間は死亡すると復活しない(蘇生スキルを使用した場合は蘇生可能)。重傷は眠らないと回復しない。

 また、食事、水、睡眠ゲージが追加され、定期的に食べ物や水分を摂取し、眠らないと、能力が低下し、ゲージが尽きると死亡するようになる。


 セーブポイントやファストトラベルに制限がかかるのはやや不便だし、仲間が復活しなくなるのが厄介だが、そこまで難しくなるわけではない。


 スーパーノヴァでクリアすると実績が取れるので、実績目当てクリアするならありだが、そうでないなら、別にこの難度でプレイする理由はないと思う。ただ不便になるだけで、あんまり面白くなるわけでもない。



 ゲームの仕様や内容に関してはほぼ文句はないが、本作の唯一にして致命的な欠陥は、ボリュームが少なすぎること。

 大型DLCの追加シナリオ2本込みで、私のクリアタイムは38時間だった。

 DLC2本付きでこのプレイタイムはいくらなんでも短い。本編だけだったらたぶん24時間で終わるのではないか。最近のRPGとしてはかなり短い。

 "Fallout: New Vegas"だったらDLCなしで200時間は遊べることと比べると、このボリュームの少なさは意外である。


 本作はマップがエリアごとに区切られており、ひとつひとつのマップがそんなに大きいわけではない("Fallout: New Vegas"でいうところの、DLCマップがいくつもあるようなイメージ。モハベ砂漠のようなメインとなるでかいマップはない)。

 また、クエストに絡まないダンジョンなどの探検スポットも少ない。

 そのため、次々とクエストをこなしていくプレイになるのだが、そうすると、結構あっさり全クエストをクリアして終わってしまうのである。


 物量があればいいというものでもないが、"Fallout"テイストのゲームだと、やはりある程度プレイヤーは物量を期待してしまうところがある。何の目的もなくブラブラその辺をうろつき、そこで突然変なクエストと出会ったりするような、そういうのを期待しているのである。それが何にもないのは寂しい。



 総評は、いいゲームだけどボリュームがイマイチな点は留意する必要がある。

 "Fallout"シリーズが好きな人なら、セール中なら買って損はないだろう。特に"New Vegas"が好きな人には合う。



■攻略情報


 仲間の装備は、一度装備すると交換以外できなくなる。

 これの何が困るかというと、頭に何か装備してしまうと、外せなくなること。誰が誰だかわかりにくくなって嫌という人もいるだろう。


 実は設定で、頭装備を表示しないという項目があるので、顔が隠れるのが嫌という人は、その項目を変更するといい。



 本作の攻略サイトはいくつかあるが、情報が古いものが多く、特にステ振りやおすすめ装備に関しては"Spacer's Choice Edition"の環境には合っていない場合があるので注意。


 もともと本作のLv上限は30だったらしいが、現在はLv99まで上げられる。

 それに伴い、有効な装備やスキルポイントの振り方が、以前とは変わっている。



 ユニーク装備に関しては、"Spacer's Choice Edition"では全て弱め。たいがいの場合、ユニーク装備を使うよりは、既製品を改造したほうが性能が高くなる。


 ただし、頭装備は改造不可能なので、既製品よりもユニーク品のほうがいい場合がある。


 現バージョンだと、銃はボルターピストルが使いやすい。改造でスコープを付ければ狙撃も可能になる。

 狙撃専用武器ならデッドアイが使いやすい。

 あとはアサルトライフルとライトマシンガン。ヘビーマシンガンは重弾薬を使うが、銃弾薬はアサルトライフルでも使うので枯渇しやすい。それよりは、余りがちな軽弾薬を使うライトマシンガンのほうが扱いやすいと思う。

 アサルトライフルは中盤までは使えるが、終盤になると火力不足を感じるように。



 スキルは、科学の重要度が増している。上限Lvが30だった時はさほどでもなかったが、上限Lvが99になっている今だと、装備の改良費は馬鹿にならない。

 科学を100ポイントにすると改良費が90%オフになるが、これがあるのとないのとでは改良限界Lvが大きく変わる。科学はプラズマとショックの火力を上げ、そのついでに改良費を大幅に抑えて武器のLvも上げやすくしてくれるので、かなり効率がいい。


 また、説得、ピッキング、ハッキングで要求されるポイントが初期に比べるとかなり高くなっているので、会話やピッキング、ハッキングを重視したい場合は、大量にポイントを振る必要がある。

 会話では100オーバー、ピッキングやハッキングは150ポイント必要なロックが結構ある。

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