プレイステーション2

メタルギアソリッド2 (3200字)

 PSクラシックで『メタルギアソリッド』をプレイしたついでに、PS2実機で『メタルギアソリッド2』を買ってきてプレイすることにした。

 以前も今回も、プレイしたのはオリジナル版。後に発売された『サブスタンス』ではない。


 私は基本的に、オリジナル版と同じ機種でリリースされた改作版は「なかったこと」にしている。"FF VII"のインターナショナル版や『バイオ』のディレクターズカット版なども、もしPSクラシックに収録されていなければプレイしなかっただろう。というわけで、『サブスタンス』は最初から購入候補に入っていない。私にとっては存在しないゲームだからである。


 ところで私は、"MGS2"がPSゲームだと記憶違いをしていた。それでしばらく、PSゲームのコーナーで"MGS2"を探して「全然売ってない」と思っていた。

 なぜそんな記憶違いをしたかは思い当たることがある。後述するが、"MGS2"は"MGS1"の焼き直し展開がかなり多い。そのせいで、私は"2"は"1"よりもパワーダウンしているように感じる。そのため、PS2のソフトとは信じ難かったのである。



 かつてプレイしたときはライン接続でブラウン管だったが、今回はHDMIコンバーターを通して高画質でプレイした。意外とくっきりした画質でびっくり。充分現代でも通用するように見える。もっとも私は画質にこだわりがないからそう見えるだけかもしれない。



 私は"MGS2"にはあまりいい思い出がない。タンカー編でリキッドが復活(?)した時点で「うわー、つまんねえ展開」と思ったし、プラント編は前作の焼き直し的展開が多い上に、ヴァンプが復活して無駄にオタコンの妹を殺してくだらないお涙頂戴展開があったり、フォーチュン関係のイベントがつまらなかったり、最後に長いお説教タイムがあったり、その後のラスボス戦が消化試合感満載ですんごい盛り下がりっぷりだったりと散々だった。唯一のいい思い出は、バグった大佐が面白かったことである。



 プラント編が丸々"MGS1"を模したシミュレーションだった、という「大仕掛け」は、発売当時としては説得力があった。9.11やY2K問題、ITバブル崩壊などがあり、これからSNSが発達していこうとする時代だったからこそ、この仕掛けにはリアリティがあった。


 ただし、本作の仕掛けは自滅的でもあった。ゲームが自ら「しょせんこんなのゲームじゃん」と言ったらおしまいだからである。

 プレーヤーは画面上のキャラクターを操作しているだけで、スネーク本人ではないし、実際にシャドーモセス島に単独潜入して生還したわけではない。そもそもスネークなんて人物は存在しないし、メタルギアも存在しない。シャドーモセス島のテロ事件なんて起こっていない。そんなことは当然である。プレーヤーはその「当然」には目を瞑って、架空の物語を楽しんでいるのである。

 しかしこのゲームは、その「当然」について偉そうに長々と説教を垂れる。そんなことに何の意味があるのだろうか。白けるだけである。


 私は"MGS2"以後、ソリッド・スネークの物語には興味を抱かなくなったし、小島監督の作る「物語」にも興味がなくなった。「しょせんゲーム」だからである。


 そのくせ"MGS3"と"MGS V"はプレイしたわけだが、これらのゲームをプレイしたのは、ストーリー以外の部分でプレイする価値があったからである。物語については冷ややかに見ていた。しょせん架空の物語だし、私はプレイアブルなオブジェクトを操作しているに過ぎないからである。

 余談だが、"MGS2"のプレーヤーなら、"V"の大仕掛けにはオープニングで気付いたと思う。全く同じネタだからである。



 今回再プレイしようと思った理由は、今ならこのゲームを冷静に見ることができるのかな、と思ったからである。もしかしたら、そんなに悪くないのかも、と。


 しかし、プレイしてみると、やはり印象は良くなかった。

 タンカー編はいい。リキッドのくだりはやっぱり気に入らないが、タンカー編は、映画的演出も決まっているし、スネークとオタコンとのコンビネーションも安定していて、くだらない痴話げんかやしょうもないメタフィクション的な展開もない。潜入ゲームに集中できる内容になっている。


 問題はプラント編。今プレイしても、やはり"MGS1"の焼き直し感がものすごい。大仕掛けの伏線になっているのはわかるが、ゲームは設定を優先しすぎるとつまらなくなるの法則を地で行くゲームだと感じる。要人を救出したと思ったら目の前で死んだり、サイボーグ忍者が出てきたり、誘導ミサイルでトラップを破壊したりなど、とにかく"MGS1"の焼き直し展開が多すぎる。そしてご丁寧にも、その度にいちいち通信で「シャドーモセス事件でもこんな展開あったッスよね」という会話が入る。くだらない。


 ボス戦は、ファットマンとの対決はいい。制限時間内にプラント中を巡って爆弾を解除する展開は、前作にはなかったタイプのミッションだし、爆弾を解除しながらダメージを与えていくボス戦もユニークである。

 しかし、ヴァンプ、フォーチュンとの対決は消化不良のまま終わる。前作のサイコ・マンティスのように、不死身の秘密をプレーヤーが解いて倒すならまだいい。しかし、イベントで勝手に死んだり生き返ったりするこの二人は、ゲームにとって何の意味もない。挙げ句に、ヴァンプの馬鹿は無意味にオタコンの妹を殺してしょうもないお涙頂戴展開を作る始末である。クソつまらん。


 アーセナルギア内部に入ると、多少は持ち直す。身ぐるみを引っぺがされた上に大佐がバグり、ものすごく厳しい状況で潜入ミッションを続行することになり、大量のロボと戦ったり、マンティス的なトラップがあったり。

 このゲームならではのオリジナル要素が増えてくるのだが、かと思えば長いお説教タイムが始まるのである。

 そして、名前も忘れたなんとかさんとの消化試合が待っている。"2"のラスボスを思い出そうとすると、なぜか"MGS3"のヴォルギン大佐の方を思い出してしまう。


 再プレイしてわかったことは、やはり私はこのゲームが好かない、ということである。2周目をプレイする気にどうしてもならない。"2"をプレイする暇があるなら"3"をやる。

 そしてやはり、"2"の後日譚である"4"をプレイする気にもなれない。私にとって雷電やソリッド・スネークの物語は"2"でおしまいである。"2"の後には何も無い。あってはならない。



 操作系統について。

 PSクラシック版の"MGS"は特に問題なくプレイできたので"2"も問題なくプレイできるだろうと思っていたが、実際はすんごい苦労した。

 その原因の多くは、デュアルショック2のアナログスティックの使い勝手の悪さによるもの。PSコントローラーのアナログスティックは細かい操作には向いていない。Xboxコントローラーの方が圧倒的に使いやすい。

 その上"MGS2"では感度設定ができない。自分に合った調整ができないため、まともに視点や照準を合わせられないのである。


 また、背後視点、主観視点中に移動できないのも問題。"MGS2"ではボス戦等で、主観視点で照準を合わせて銃を撃った方が効果的だが、その間は立つかしゃがむかしかできない。移動したかったら、いちいち俯瞰視点モードに戻す必要がある。

 昔の私は主観視点をほとんど使わず、アナログスティックも使わずプレイしていた気がするのだが、どうやっていたのだろう。



 本作からノーキル・ノーアラートができるようになったが、難度は高い。タンカーやプラントは狭い通路が多く、見つからずに移動するのは困難な地形が多いからである。また、カメラ視点や操作系統の問題もある。もし"V"と同じように操作できるなら、だいぶやりやすかったはずである。

 なにより、やる気をなくさせるストーリーのもとで挑戦しようという気を起こすのが難しい。どうでもいいやとなりがちである。

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