アインハンダー (3800字)
スクウェアのゲームで何が一番好きかと聞かれたら、私は迷いなく『アインハンダー』と答える。ソフトはもちろん、攻略本とサントラも所有している。
次点は『レーシングラグーン』だが、『アインハンダー』とは比較にならない。『ブシドーブレード』も捨てがたいが。
『アインハンダー』や『レーシングラグーン』を作っていた頃のスクウェアは、一番チャレンジングだったし、ラインナップも充実していた時期だったと思う。RPGやしょうもない映画に注力する暇があったら、もっとチャレンジングなゲームを作るのに力を注ぐべきだったと思う。
『アインハンダー』は、シューターからはあまり好かれないゲームである。周回するのがダルいこと、当たり判定のでかさ(視点が近すぎて敵味方共に大きく表示されるシチュエーションが多い)、操作の複雑さなどが理由。実際、シューターから評価の高いゲームと比較すると、明らかに文法が異なるゲームであることがわかる。
しかし、シチュエーションに没入できることを重視するプレーヤーには、このゲームは唯一無二のシューティングゲームといえる。似ているのは『フィロソマ』だが、『フィロソマ』は実験作的な要素が濃く、雰囲気はいいが、ゲームとしてはイマイチだったりする。シューティングゲームとしてもそこそこ遊べて、ストーリーも楽しめるバランスの良さでは、こちらの方が優れている。
本作は、シューティングを専門としていないメーカーが作っただけあって、既存のシューティングの常識に囚われない、なかなか面白いシステムになっている。
まず、自機が3種類から選べるのだが、機種ごとに操作系統が全然違う。
共通しているのは、メイン兵装として機銃を装備していることと、敵味方共通規格の兵装「ガンポッド」を敵から奪って、それを使用できること。――そう。このゲームでは、武器は現地調達するのである。ガンポッドの武器は弾が有限で、無駄遣いはできない。
エンディミオンMk-IIはガンポッドを3種類搭載でき、そのうち1つを選択して使用できる。状況に応じて使用するガンポッドを選べ、柔軟な戦い方ができるが、その分操作が複雑で、扱いをマスターするのに時間がかかる。このゲームのデフォルト機体という扱いだが、最も上級者向けだと思う。
エンディミオンMk-IIIは、機銃の威力が2倍である代わりに、ガンポッドは1つしか装備できない。操作は一番簡単だが、ガンポッド1つという縛りはこのゲームにおいてなかなか厳しい。使いたいときに使いたいガンポッドがないという状況が起こりがち。扱いやすさでは初心者向きの機体だが、クリア難度はむしろ高い。できれば他の機体をマスターしたい。
アストライアーMk-Iは、ガンポッドを2つ同時に装備できる代わりに、ガンポッド2つ装備中は機銃が使えない。エンディミオンMk-IIより火器管制が楽で、ガンポッドを2つ同時に使えて火力が高いのが魅力。ただし、ザコ相手でも常にガンポッドを使うことになるため、弾数管理に気を遣う必要がある。
私はアストライアー使いである。昔は上にワスプ、下にカノンを装備して、ほとんどこの構成のまま進めることが多かったが、最近プレイし直してからは、その場で拾ったガンポッドを使い捨てながら戦うことが多くなった。
この3機種の他に隠し機種もある。
もうひとつ大きな特徴は、プレーヤー毎に細かい戦績が保存されること。今回のプレイでは何ステージまで進めて、ハイスコアはいくらで、みたいな情報が蓄積されてグラフ化される。
これは地味だがすごくいい。このシステムを真似するシューティングゲームが出なかったことが不思議なくらいである。
代わりに音ゲーがこうしたシステムを採用するようになった。今日、アーケードで音ゲーしか生き残っていないのは、音ゲーが自己記録をカードに保存できるシステムを採用したからだと私は思う。うまい奴しか楽しくないゲームは時代遅れである。
普通、シューティングゲームでは全体のハイスコアランキングのみが保存される。だいたい、うまい奴1~3人くらいの名前ばかりが並ぶことになる。ごく一部のうまい奴しか楽しくないクソシステムである。ヘタクソはいくら頑張っても何の記録も残らない。
しかし『アインハンダー』では、自分の戦績が細かく記録される。徐々にうまくなっていく様子がグラフとして表示される。これは「次はもっとうまくやるぞ」というモチベーションに繋がるし、なにより楽しい。ヘタクソがヘタクソなりに楽しめる要素を用意したことは、シューティングゲームとしては革命的だったと私は思う。
当時私は「これでシューティングに革命が起きるぞ、大復活するに違いない」と興奮したものだったが、結局どのシリーズも戦績システムを真似しなかった。あのシステムの良さがわからないんじゃ、滅びて当然である。
なお、戦績として残るのは、各1クレジット分のプレイごととなっている。ゲームオーバー時にクレジットを消費して継続可能だが、継続後の戦績は残らない。
スコアの稼ぎ方は複数存在する。
ひとつは、敵を素早く連続で倒すことで倍率ゲージが上がっていき、16倍に達すると一定時間維持されるシステム。機銃で倒すよりもガンポットで倒す方がゲージ上昇量が多く、一発の弾丸で複数の敵を倒すと、やはり上昇量が多い。
次に、ボス撃破ボーナス。これは減点方式になっており、一定時間以上経過すると徐々に下がっていく。
最後に、シークレットボーナス。各ステージには3つの隠しスコアを得られる方法が存在する。
このゲームでは、『フィロソマ』や『エースコンバット5』のように、ステージ間にムービーが挿入されたり、戦闘中にたくさん通信が入ったりすることはない。プレイ中にムービーが入るのは最終ステージの前だけだし、通信が入るのはステージ終了後のリザルト表示中のみ。にも関わらず、『フィロソマ』に匹敵するほどの没入感を演出している。
演出面で最も貢献しているのは、実はBGMだろう。1つのステージで複数のBGMが使用され、状況の変化に伴い曲も変化する。サントラを聴くと、それだけでステージ構成を思い浮かべられるほど、曲とステージ構成が密接に関連している。曲を聴くだけで「この辺が難所なんだよな」などと、はっきりと思い出せる。
設定やステージ構成も良く出来ている。攻略本が設定資料集としても凝った作りで、私は攻略のためではなく、雰囲気を味わうために所有している。
プレーヤーは特攻兵器に乗って敵本拠地への無謀な特攻を仕掛ける、というシチュエーションなのだが、迎撃してくる敵の兵器は多彩ながら統一感があるし、敵のガンポッドを奪うというのも、武器を現地調達して使い捨てながら戦う潜入作戦らしくていい。
ステージ構成もストーリーに沿っており、夜間に都市部に奇襲を仕掛け、鉄道を襲撃して地下鉄から敵施設の内部に潜入し、破壊した後脱出、工場地帯を抜けてロケット発射台へと進む。結局同じ地帯を飛んでいるだけなのでマンネリになりそうだが、意外とシチュエーションは多彩である。
特にいいのが、施設を破壊して外に出たとき、夜が明けようとしているところ。敵の攻撃が激しいので、そんなもんに感動している余裕はないのだが、あれによって時間経過を表現しており、よくここまで生き延びたもんだよなあという感慨を起こさせる。
ところで、このゲームが私にとってスクウェアのゲームのベストとなった理由のひとつには、『フロントミッション』の影響がある。
『フロントミッション』は、最後に本当に悪い奴が誰なのかわかるのだが、そいつらに対して殴り込みをかけることはできない。すごく煮え切らない終わり方をする。
『フロントミッション』に限らず、当時のスクウェアのゲームには、わりと似た雰囲気があった。どうもすっきりしないストーリー展開のゲームが多かった。
そのため、本作の終盤で味方から裏切られる展開になったとき、「またこのパターンかよ」とうんざりしたのである。味方から撃たれて終わり? 『フィロソマ』より酷えぞ、これ、と。
しかし『アインハンダー』はやってくれた。最終面は、裏切った味方に単騎で特攻を仕掛けるのである。『フロントミッション』や『フィロソマ』、あとついでに"FF7"とかで溜まっていた鬱憤を晴らすイカした展開に、私は歓喜したものである。スクウェアのゲームでこんなにスッキリするなんて! と。
『アインハンダー』自体は、これはこれで完結しているゲームだと思うので、続編が出て欲しいとは思わなかったし、今でも思っていない。ただ、こうしたマニア向けでないシューティングゲームが出てこないのは残念ではある。
どうでもいいが、私の戦績について。アストライアー、ノーマルで1クレクリアしたことはある。戦績を伸ばしたい一心ですんごい頑張った。ただ、その時のデータは保存していたメモリカードが破損して消失した。
現在は、生存重視でステージ4、スコアを伸ばそうとするとステージ2でたいがい終わる。だいぶなまっている。ステージ1のグライフ(中ボス)でシークレットボーナスを取ろうとして死ぬくらいダメダメに。
エンディミオンMk-IIをなんとか使いこなそうとしているが、どうしてもうまくいかない。ガンポッドを選択して、上下どちらに付けるかも選択して……と、戦闘中に操作するのが煩雑に感じてしまう。また、アストライアーに慣れすぎていると、機銃で敵を倒したときのスコアの低さが気に入らなくて、機銃を使うのをためらってしまう。機銃を使わないならエンディミオンを使う意味もないのだが。
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