第3話「俺は高校生時代をやり直す」


 201×年4月。俺は大阪市都島区にある公立の高校に進学した。

 そう、公立高校である。スポーツ推薦で陸上競技において強豪私立校へは進まなかった。昔と同じ、市立桜ノ宮さくらのみや高等学校が俺の進学先だ。

 推薦入学について興味があるにはあった。地方あるいは全国からも集う猛者だらけの陸上部。想像しただけでもワクワク感がある。実際その学校の選手たちは誰もがレベル高かったしな。


 けど俺はそんなところで部活やるのはつまらないと考えている。

 そりゃ実力がある奴らにとってはそういうところに入るのが良いとは思う。けれど才能も実力も無い奴らにとってのそこはどうだ?ロクに試合に出ることもできず、出られるのは学区内で行われる小さな記録会のみ。しかも試合での経験が足りないせいでロクに競技成績を伸ばすこともできない。そんなしょうもない競技生活は俺は嫌だね。

 ソースは...一応俺なんだよなぁ...。公立校だろうと実力者が集まるところもある。そいつらに埋もれて試合に出る機会が減り、経験値が足りないまま3年生に上がり、無様な競技をするだけで終わる。


 昔の俺もこの桜ノ宮高に入ってここで大活躍してやるぞって、最初はそう思っていた。けれど実際は...下らない怪我とかを何度も起こすわ、成長ロクにしないわ、気が付けばスプリントレベルほぼ最下位だわ、後輩には追い抜かれるわ、大阪IHインターハイでは応援と傍観するだけだったわ、挙句大事な試合で力を発揮できず地区予選IHで無様に負け落ちするわ...そんなしょうもない競技人生だった。


 中学の時と違い高校では俺より速い奴らが同じ学校にもたくさんいた。公立校とは言ってもここは体育会系の学校だったから。それが理由なのかもな。

 あの時もしこの桜ノ宮高ではなく他の学校へ行ってたら、やや弱小でも良い、そんな陸上部でだったなら俺にも試合に出られる機会はいくつかあったのかもしれなかった。鶏口牛後のように、レベルがそんなに高くないところでも良い。俺が活躍できるならそれでも良かった...。



 と、話が逸れてしまったが以上が昔の...本来の高校生時代における俺の競技人生だった。

 要するに強豪校に入りたくない理由は、そこで埋もれてしまい全く試合に出してもらえないというのが嫌だというものだ。あと私立の場合、土曜も授業があるからそれが嫌だ。だから私立高はたとえ実力があろうが推薦してくれようがお断りだ、以上。

 

 今回も競技レベルが昔と同じで伸びしろもほぼ見込めない俺だったのならこの桜ノ宮高には行かなかった。けれど今の俺は...ズルしてたとは言え、全国3位を勝ち取った猛者だ。昔はほぼ埋もれていたこの学校で、今度こそ輝いてみせる!!



 というわけで1年5組からスタートする高校生活。まずは恒例となる(?)オナネタ確認。1年のクラスメイトで「あ、こいつでシコれる」って感じの女子をまた生で見られるのはやっぱり嬉しい。Jk当時の彼女たちの姿を、ガン見する!


 I田沙友里さゆり、Tあんず、Y田菜津美なつみ。彼女らとはこの年でしか同じクラスになれないオナネタたちだ。まぁ当たり前だ。なぜなら学科が違うからな。

 この高校は普通科と専門科に分かれていて、さらに専門科から体育科とスポーツ科学科に分かれている。彼女たちは前者、俺は後者にあたる。2年生からは体育科とは完全に分かたれて、スポーツ科学科の生徒とのみのクラスで固定される仕組みだ。

 やや特殊なクラス編成となっているが別に苦には思わなかった。同じ学科に陸上部が数人いたお陰で残りの2年間はぼっちにならずに済んだしな。とは言えぼっち気質だった俺は2年間独りなスクールライフがけっこう多かった気がする。「目立つことがダメ・自分を出すことがあまりない」というキャラも災いしてかなり根暗感も出てたしな。完全に入るところ間違えてんじゃねーかよ俺。何でこんな学校へ入ってしまったんだ?周りはみんなバリバリの体育会系だってのに。


 まぁそんな自虐と後悔じみた回想はおいといてだ。今の俺は昔とは違う。自分をしっかり出せるし、声もデカいし、実力が十分あるし、色々デキる男だ!今の俺にとって周りの奴ら全員とるに足らないモブどもだ!そう思っておけば何も怖くない。俺が一番だと、強く持てばイケる!

 強くあること。怪我無くしっかり競技成績を伸ばして大活躍すること。高校生活のやり直しについての目標はこれらに絞る。

 もちろん、同級生女子ともヤるぞ!!


 その後、決心した通り俺は上手くキャラづけることに成功した。

 言うことはしっかり言うタイプ。友達グループは大してつくらない・一人でいることに別に変に思われないように仕向けさせた。発言力はクラス内で強い感じになった。何よりも俺の中学での経歴が有効だった。クラスの中にいる陸上部の奴が俺を見て俺が全国区だってことを広めたことで色々人気者になれた。


 「びっくりしたわー。まさかNNS君が同じ学校におるなんてー。よろしくなー!T本里砂です。天王寺区出身ですっ!」

 「俺のこと知ってるんや。よろしくなー」


 俺の実績を知っていてそのことを最初に広めた彼女は、T本里砂りさちゃん。...あ、ちゃんってつけちゃった。まぁ心の中でだから良いか。

 彼女はこの学校の中で一番速い子になる。種目は400mと400mH。さらには短距離系なら何でも速いともきている。大阪IHでは個人レースで準決勝まで進んだ。まぁ競技成績は良いと言える子だ。

 さらにはフレンドリーな性格であり誰でも気さくに話してくれる。俺ともよく話してくれた。勉強で分からないところがあったらよく聞きに来たっけ。

 ルックスは個人的には好き。頬が常に赤い感じなところがチャームポイント。あと...体臭たいしゅうが良い!何か、興奮する感じなのだ!俺的に!!朝練終わりで教室へ移動する最中、まだ汗がうっすらかいている状態の里砂ちゃんと話していた時、彼女から汗と体臭が混じった匂いがきて、それが何かエロくて危うく勃つところだった。匂いフェチじゃない俺だが、里砂ちゃんの匂いだけには弱かった。滅茶苦茶興奮するのだ。その匂いを思い出しては何度シコったことか。

 なんて変態的なところを挙げたが、何と言っても里砂ちゃんの一番良いところは性格美人というね。3年間同じクラスで3年間とも俺に親しくしてくれた。ああいう子と恋人関係になれたら楽しいだろうなぁと思わせる良い子だよホント。

 やり直しルートでもこの学校をまた選んだ理由は、彼女がいるからとも言える。もっとも、同じ学校を選んだ一番の理由は、その方が色々簡単に攻略できるからだが。

 できればこのやり直しを利用して里砂ちゃんともっと親密になれたら良いなぁ。

 


 さて、部活の展開に移ろうか。

 この学校の部活同期たちとは、高校卒業したあとも何度か遊んだ仲だ。大学時代ではクラブチームを結成して一緒に練習したり試合に出たこともあったっけ。

 400mのH本とH井。投てき種目のK畑。混成競技のI田。跳躍種目のT貝と後に三段跳びで全国区になるT橋。

 こいつらの高校生時代の顔姿をまた見られるのは何か面白い気分だなー。俺の競技成績はクソだったけど、こいつらと一緒に部活できたのは良かったと今も思っている。また約3年間こいつらと練習頑張るかー。


 女子も...里砂ちゃんに長距離のエースM本舞衣まい、ややロリボディのN田歩美あゆみ、ブス顔だけどエロくも見えるルックスのN山友紀ゆき、イケメン顔をしたスプリンターのM口七海ななみなどなど。このあたりの女子たちもけっこうオナネタにしていた。特にN山。あいつはシコれるブス顔だから何か凄いムラつくんだよなー。あいつで何回ヌイたことやら。

 他にも...M本舞衣(通称もりまい)とは女子の中では里砂ちゃんと同じくらい仲が良かった(俺の中ではだが...彼女はどうだったんだろう)。座学では俺とよく競ってたなー。テスト結果見せ合っては勝っただ負けただってやっていたよなー。勉強以外でも普通に日常会話をする仲だったし。

 いや~~~何で告白しなかったんだ俺は?顔も性格も俺好みの子だというのに。あの時の俺には恋愛感情は無かったのかねぇ?関係に大した進展がなかった為、大学へ進学した以降は彼女と全く絡む機会が無くなり疎遠になった。独り身になってからふと、高校時代のことを思い出して、もりまいともっと仲を深めてればなーって悔いたんだよなぁ。


 だからこのやり直しルートで、彼女に少しアプローチしてみることにするぞー。



 去年から「枷」を外したことで、さらなる成長ができるようになった俺は、ここからさらにグングン伸びる気でいる。1年生にして全国IH出場。まずはそこからだな。

 練習で瞬く間に同期や先輩たちを追い抜いて部内で一番速い男となった。当時一番速かった3年のI東先輩にも400mではギリ負けたがそれ以外では勝てた。彼は大阪IH準決勝まで勝ち進んだレベルを持っている。400mで49秒を出すくらいだからな。速いよ彼は。 

 実力が認められた俺はリレーメンバー入り及びIH予選の個人枠にも選ばれた。1年生で個人種目に出られるのはどの学校でも稀だからな。純粋に嬉しかったぜ!


 というわけで今年の俺のIH挑戦種目は、専門の200mと400mにも出させてもらった。本来この年の短距離種目枠は全部3年と2年が占領していたのだが、レベル高いやつがなるべく試合に出るべきだという考えを持っていた当時の顧問の計らいで俺に枠が回ったのだ。

 今回の俺はそんな顧問...Y根先生に感謝はしているが、昔の俺にとってはY根先生のその思想には少し反感を抱いていた。そのせいで俺はロクに試合に出ることがなかったからな。実力が無い・センスが無い・単に遅い...って言われればその通りなのだが。

 それでも公立校なのに強豪私立みたいな制度をつかうのは...嫌だったなぁ。

 まぁ今回の俺は実力がしっかりある状態だから、気兼ねなくチャレンジしてやる!



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