第8話 お世話係

 森は思うよりずっと広がっていて、黄色い三角のテントの中私たちは談義していた。内容は主に私について・・・・・・。トーマが口火を切った。


「てか、兄さんミュリュちゃんに手厳しいって。口うるさい姑みたいだよ」

「ミュリュは強いから大丈夫だ。俺がそれを鍛えているわけだし」


 そんなことをいうデュークは顔を赤くしていた。おやおや。なんて不毛に思えてしまう談義だ。そういえばデュークは宿の酒酔い事件に関係してから私の世話役になぜかなっている。


「どういったって兄さんはやりすぎだから、下手したら俺が世話役になるよ」


 トーマが指をさして目を鋭くさせる。デュークは余計に顔に血を上らせ、落ち込んだ顔をした。私はそれを見てそろそろ話しの折り合いがつくのを計った。


「だ、大丈夫です。デュークさんで構いません」


 トーマがきっと眼光を尖らせて私を見た。だがその鈍い光はお兄さんに向うそれとは一味違った。


「・・・・・俺じゃ嫌なの?」

「そ、そんな意味じゃ」


 怖いとは思わなかったけれど、私に話の矛先が向くことが私はいまいち理解できていない。


「じゃあ、おれでも別にいいわけだよね」


 急に顔色をよくさせ、デュークに得意気に笑った。デュークは恨めしそうに睨んでいる。私が判決を下さなければならなかった。


「じゃあ、お二人で解決させていただくのはどうでしょうか」

「二人で?どういう意味?」


 とトーマ。


「お二人に私の世話をしてもらうということです(いらないけれど)」


 ちなみにいらないですというのはいいえで結果が通っている。二人は顔を見合わす。


「いいねそれ」

「・・・・・・あ、ああ効率もよさそうだし」


 ・・・・・・なんの効率かは聞かないでおこう。というわけで、二人は晴れてなのかは大いに疑問だけれど私の世話役になった。




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