特別対談「裏天皇vs座敷童」[06/29/12:00]
# 動画説明文
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『自称幼女のつれづれなるブログ』を書いている自称幼女・座敷童さんと第87代裏天皇悠幻(ゆうげん)様の対談動画です。
#裏天皇 #座敷童 #対談 #怒りの日
#00:00~
(本編切り抜き映像)
(タイトル表示+SE)
#00:15~
画面に男と背の低い少女の姿が映る。二人は座敷の上に向い合って正座している。
男は和服を着た長髪の、中性的な顔をしている。しかしその目は自分以外の全てを睥睨するかのような尊大さに満ちている。
少女は髪を肩のあたりで切り揃えられていて、七五三の子供のような明るい色の着物を着ている。顔には人気アニメのお面を付けている。
(座敷童)「ほ、本日は何卒よろしくお願い致します」
(裏天皇)「ああ。よろしく。畏まる必要はないぞ」
(裏天皇)「……突然の誘いによくぞ応じてくれたな」
(座敷童)「い、いえ……ま、まさか貴方がわ、ワシなどの文章を、読んでくださてってい、いたとは思いませんで……」
(裏天皇)「落ち着け落ち着け。お前がオレに畏まる必要はない」
(女性の声)「それでは、早速ですが本題に入らせていただきたく思います。進行はこの私、アンが務めさせていただきます。よろしくお願いします」
(裏天皇)「ああ。出しゃばり過ぎない程度にな。……さて、ではまずこの対談の目的について告げるとしよう」
(裏天皇)「これは前提として識っておいて貰いたいのだがな、世界はこの先、大きな変容を強いられることになる。ポイント・オブ・ノー・リターンというやつだな。その名こそはdies irae――怒りの日だ」
(裏天皇)「さて、ではそのような重要な事柄をなぜ、この貴様との対談で明かすのかを宣言しよう」
(裏天皇)「貴様には特別な力があるからだ。時空の流れに干渉し、世界の行く先を選びとることのできる力が。怒りの日を止めることのできる力だ。その力にも力の保有者にも決まった名称はない。ゆえに今、ここではこう呼ぶとしよう」
(裏天皇)「――10G回線の使い手、と」
#05:32~
(女性の声)「これまでのお話を総括すると、10G回線の本来の用途は時間遡行能力を行使することのできる存在――10G回線の使い手を炙り出すことであり、座敷童さんはそれによって炙り出された一人だと。そして、その能力者は過去にも少数ながら存在し、世界の流れや歴史を動かしてきた。そのため、10G回線の使い手たる座敷童さんに怒りの日を止めてもらおうと考えている……そういうことですね?」
(裏天皇)「ああ。繰り返すようだが、その力は歴史に、世界に重大な影響をもたらすものだ。この裏天皇もまた、その力なくして存在はしなかった」
(女性の声)「辻褄合わせのために世界に生じた時の天皇の影、それが初代裏天皇の正体、ということでしたね。ゆえに、裏天皇に血筋というものは存在せず、皇族ですらないと。……しかしこのような重要なお話を公にしてしまって良いのですか? それもこんな場で」
(裏天皇)「出ちゃばるな、と釘を刺したはずだが……まあいい。最初に話した通り、そう遠くない将来、怒りの日が訪れる。
そうなってしまえば、世界はもう以前のようには戻れない。聖なる者が永遠の生を受け、そうでない者は塩に変えられる――終わりなき浄化の光に世界は包まれるだろう。『怒りの日を超えて』に記されているように、世界から混沌が失われるだろう。
そうなってはもう元に戻れない。ゆえに今、情報の出し惜しみをしている余裕はないというわけだ。
理解したか、座敷童よ」
(座敷童)「え、ええ……まあなんとか。しかし、なぜワシにそのような力が?」
(裏天皇)「知るか。そこの進行役にでも訊いておけ」
(女性の声)「私も知りませんよ。それより、これは対談と言えるのですか?」
(裏天皇)「話が一方的であることは認める。だが許せ。他人の内心を見透す薄汚い力など、このオレにはないからな」
(座敷童)「……ならばワシに、このワシに質問をさせてほしいのじゃが」
(裏天皇)「ああ。構わんぞ」
(座敷童)「貴殿ならば既に知っていると思うが、ワシは
そしてもし、時空を遡りあの一家を救う方法があるならば、お嬢様の帰る処を取り戻すよすががあるならば、それを教授願いたい」
(裏天皇)「ふむ……なるほどな。しかしそうだな、救うよすがと言うが、それもまた怒りの日を止めるしかあるまい」
(座敷童)「な、なぜじゃ。怒りの日と御堂鉄家に一体なんの関連が」
(裏天皇)「世界がそういう流れにあるからだ。怒りの日へと向かう流れの中に。しかし、怒りの日を阻めば、この流れを
(座敷童)「……そ、そうか」
(裏天皇)「ちなみに、先ほど送信した過去へのメールには何と書いた?」
(座敷童)「百鬼夜行により御堂鉄家が跡形もなく消えるから、外出はせぬように、と」
(裏天皇)「……一つ、解かねばならぬ誤解……いや、呪いがあるようだな」
(女性の声)「おや。呪いですか?」
(裏天皇)「茶々を入れるな。要らぬ疑いをかけられるぞ」
(座敷童)「……あの、話が見えないのじゃが」
(裏天皇)「進行役。良いのだな? 言ってしまって」
(女性の声)「ただの進行役に口出しする権利などありはしません」
(裏天皇)「ぬかせ。……座敷童よ、貴様。真実を知ってなお心は揺らがぬと、誓えるか?」
(座敷童)「それは、どういう……」
(裏天皇)「誓え」
(座敷童)「はっ、はい! ちっ誓う! よく分からんが、それが御堂鉄家を救うことに繋がるのじゃろう!」
(裏天皇)「そいつは保証しかねるが……では言おうか」
(座敷童)「う、うむ……」
(裏天皇)「そもそも、貴様はザシキワラシという妖怪ではない」
(座敷童)「は……?」
(裏天皇)「そもそも、ザシキワラシという存在は家の没落という現象を説明するために空想された妖怪だとされている。つまり、ザシキワラシが去ることによって訪れる家の滅びとは、『不幸にも百鬼夜行に遭って消失してしまう』というそんな大仰なものになることはまずありえない」
(座敷童)「では、ワシは……?」
(裏天皇)「千年前、御堂鉄家に住みついたナニカ、と言うよりほかにあるまい」
(座敷童)「なにか……」
(裏天皇)「理由までは分からんがな、そう思い込まされていたのだろうよ。ゆえに、そこの進行役の裏切りは正しい。感謝しておくんだな」
# 11:02~
(女性の声)「では、これにて対談を終了とさせていただきます」
(裏天皇)「ああ。より良い未来のため、この時間を有意義なものにできた。座敷童よ、貴様には感謝する」
(座敷童)「い、いえ……ワシも、ありがたく思います」
(裏天皇)「ああ、そうそう。オレの方で泊まるところを用意しておくゆえ、貴様らは五日ほど、この京都で過ごしておくと良い」
(女性の声)「よろしいのですか?」
(裏天皇)「構わん。御堂鉄の後始末についても、こちらでやっておこう」
(座敷童)「あ、ありがとうございます……!」
(裏天皇)「案ずるな。その代わり、貴様はこの動画を三日後の正午に投稿しろ。今日、この日この時にはもう、このように視聴できるようにしておくことだ」(懐からスマートフォンを取り出す)
(座敷童)「そ、その動画は……」
(女性の声)「なるほど。対談の真の目的は、時間遡行能力の存在を全世界に発信することでしたか」
(裏天皇)「ではな。またいつか……そうだな、怒りの日にでも会おう」
(座敷童)「ちなみにその、怒りの日とはいつなのじゃ?」
(裏天皇)「ん? 言ってなかったか。
――今年の12月25日だ」
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