第50話 番外 酔った勢いの初夜

 前置きとして、お約束の朝チュンですが、R15チキンレースの様相を呈して居ます、話自体は進まないので、苦手な方は読み飛ばしてもOKです。

 結局酒飲んで朝チュンしたあのシーンリメイクですから。

 完全体のR18版が欲しかったら感想欄にでも、もっと寄越せと言ってくれればアルファポリスの別枠辺りに投下しますので、宜しくお願いします。



 御神酒だと言われたので拒否出来ずに、気が付いたら三々九度の盃に成っていた。神前結婚式での飲み方だ、そういえば、結婚自体はした事になっているが、役所で書類を出しただけで、その他の事はやっていなかったなと思い至る、後でデートに連れ出してせめて指輪だけでもと思い付く。

 そんな事を考えながら、さしつさされつ杯が進む。

 初めて飲む酒は美味しいのだが、其れよりも目の前で、血色良く、赤く、笑顔の葛様がとても可愛らしくてそれどころでは無い。

「ん、コレで最後の一杯じゃな」

 と、最後の一杯が注がれる、飲み過ぎとかそう言った事は置いて置いて、一気に盃を傾け、口の中に流し込んだ。


 ゆらーん、ゆらーんと視界が揺れている気がする。

 何だかそれに合わせて自分自身も揺れると丁度よいような気がする。

 ゆらーんゆらーん

「おい大丈夫か?」

 葛様ががこちらの顔を、心配そうな顔で覗き込みながら聞いてくる。

「よってまーす?」

 と言うか、コレが酔うというのだろうか?

 ゆらーんゆらーん

「ちょっと呑ませすぎたか? ほら、水じゃ、少し薄めとけ」

 そう言って口に水の入ったコップを運んで来てくれる。

 こういった時には優しいなあと思いつつ、コップを受け取り、口の中に流し込む。

「もう一杯か?」

 そんな事を言いながら葛様が何処かに行こうと振り向いた。

 どこかに行ってししまう?

「葛様・・・」

 一瞬、そんな事が思い浮かび、考えると同時に名前を呼びつつ、手が動いていた。

 気が付くと抱き寄せていた、葛様の反応としては抵抗感は一切無く、ただされるがままと言った感じに自分の腕の中に収まって居る。

(あれ?)

 おや? と言った感じにポカンとした様子で此方の顔を見上げて来る。

「何じゃ? その気か?」

 こんな感じに抱き締めると、小さいと言うのが更に際立つ、男としては小柄なこの腕でも余る事は無くすっぽりと収まって居る、可愛い・・・・・

「好きです・・・・」

 一瞬ぽかんとした後、ぽっと赤くなった。

 可愛い。

「何じゃ? 今更か?」

 今まで見た事が無いほどに、口元がニヤニヤと動いて居る。

 そして、今更だが、浴衣が着崩れてブラが浮いて居ると言う事に気が付いてしまった、ギリギリラインでチラチラしている。見るのは初めてでは無いだろうと言われそうだが、目に入って来るのはしょうがないし、見飽きる事なんて無い、ので、無意識に視線が吸い寄せられる、いやいや待て待てと理性で押し留める。

 その視線を戻した時に、バレて居るぞと言う感じのニヤッとした笑みが浮かんでいる事に気が付いた。余りの恥かしさに顔が熱い。

「三三九度の盃何じゃから実質結婚式じゃろ?」

「結婚式・・・・」

 そんな事を言われる、確かにそう言えば結婚式だ。

「其れを終えたんじゃから、今は初夜じゃぞ?」

「初夜・・・・・」

 結婚して初めての夜、いや、辞書的な意味は置いて置いて・・・

「手を出さない方が失礼じゃぞ?」

 意味を飲み下す前に畳みかけられる。

 と成ると、寧ろ今まで手を出さなかった事の方が失礼だったのじゃ無かろうか?

 いや、役所に書類を出したあの時は許可してくれなかったしと頭がグルグル、クラクラする。

 心臓がバクバクする、あれ程水っぽい物を飲んだと言うのに喉が渇いてどうしようもない。

 万一怒られたらへし折られると言うか、無事に済むと思えない、見た目は置いて置いて純粋な力量差は人とヒグマ以上の猛獣だが、此処で手を出さな方が失礼だと言うのなら・・・・・・

 ああもう毒を食らわば皿までと覚悟を決める。

「ほら、先ずは口からお迎えせんか?」

 何処から触れるかと迷って居ると、キスをせがまれた、直前に言われたのとは全然意味が違う、先程のは酔っ払いの戯言だったのに、此処迄違うのかと思いつつ、顔を近づける。

 恐る恐る唇を重ねる、一瞬だけ軽く触れて、びっくりしてぱっと離れる。

 どんな反応をされたかと顏を覗き込むと、葛様がクスリと笑って答えた、大丈夫らしい。

 もう一度唇を重ねる、ちゅ、ちゅ、と、何度も確認するようにキスをする。

 こうなって来ると、もっと触れても良いのかと欲が出て来て、接触時間が長くなる。

 ついついいたずら心が出て来て、舌を伸ばすと、思ったよりあっさりと受け入れられた。

 そんな事をしていると、興奮しすぎたのか呼吸が苦しくなってきた。

 何時までもくっつけていたいが、流石にそんな訳に行かないので、離れて呼吸を整える。

 しかし、此処迄してしまって大丈夫だったろうかと顔色を窺うと、次は如何するんじゃ? と言わんばかりにワクワクした目を向けて来ていた。

 改めて覚悟を決め、抱え込んで押し倒した。

 相変わらず抵抗は無く、コロンと畳の上に転がった所で、葛様が改めて口を開いた。

「これ、やるんなら布団まで運ばんか」

 予想外の不満だった。

 因みに寝床は晩酌を始める前に既に整えて有るので、準備はばっちりだ。

 確かに畳の上では背中が固かったかと反省して、言われた通りに運ぶかと首と膝の下に手を入れると、分かって居た様子で首の後ろに手が回った。

「最初はお主の好きにせい、だが、痛くするなよ?」

 耳元で囁かれる、色々限界だった。

 力任せに持ち上げ、布団に運んで、覆いかぶさった。


「諸々気にしなくて良いから、好き放題中に出して良いぞ?」

「出して良いと言ったが、無駄撃ちしてどうするんじゃ?」

「ほれ、こっちじゃ」


 翌朝

「お主も男の子(おのこ)じゃのう、この獣(けだもの)♪」

 翌朝カペカペ状態で裸の葛様に上機嫌でそんな事を言われた、二日酔いと言うのか頭が痛くてぐらぐらするし、何処までやったのか覚えていないが、責任は取ろうと思う、指輪でも買いに行こうか。


「因みに、今回は出来んが、何時キャベツ畑の種まきと収穫をするかは考えて置けよ?」

 微妙に圧力を感じる笑顔で釘を指された事は追記して置く。

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