第40話 ツムギの長い一日 吊り橋効果
三門陽希さんに名前を認識されていなかったのはまあしょうがない、何と言うか変な目立ち方をして要るので、誰もが一方的に名前を知っている状態だ、私の方は普通の地味枠なので覚えられている方が珍しい、そんな訳で気にしない。
そんな事より、一々距離が近いと言うか、手を握って離してくれない、嫌な気はしないと言うか、変に意識して鼓動が速い、そして、手を握られて分かる意外な力強さとか、良く運動している男の子特有の体温の高さとかが感じられて、男だか女だか判らないと言う本人には言えないクラス内の評価が、成程よく知らない奴が言ってるだけだなと、内心謎の優越感を持って否定できる、確かに見た目は美人枠だけど、中身は意外と格好良い枠だ。
登校途中で目を開けたら「きさらぎ駅」と言う謎の怪異に対して、驚いて右往左往する私と違い、この人は不思議な頼りがいと言うか焦った様子は一切無く、次から次へと自信有り気に対処していく。その真面目な横顔、余裕は無さそうなピンと一本糸が張ったような緊張感が格好良い。コレは不味い、惚れそうな感触だ。
改めてまじまじとその横顔を見つめる、喉仏は見えない、肌艶はつやつや、睫毛は長く、歯並びも良い、同年代の男子に見られる男臭さも感じない、長くてストレートの髪はさらさら、化粧無しのすっぴんでコレは卑怯だ、同性じゃ無くて良かった、コレと張り合うなんて死ねる。
・・・・いや、同性じゃ無いのなら恋愛対象?
むしろちんちん付いてるからお得?
そもそも男の娘がトラップに成るのは男から見た時のアレですし?
変な方向に開眼してしまいそうになりつつ、陽希さんが通学用のリュックから刃物を取り出すと、きさらぎ駅と言う看板を斬り付けた、一瞬眩暈を感じて目を閉じる、目を開けた時には現実に帰って来たようで、ピコンピコンとスマホから圏外だった間の通知が次々に入って来る、ざっと目を通して納得する、うん、あの人達と私は合わない、寧ろ弾いてくれて安心した、後顧の憂い無く陽希さんのグループに移住できそうだ。
「ハブられました」
いっそのこと清々しく呟く、陽希さんはこの一言にギョッとしているが、只の自分自身の現業確認なので気にしないで良いのです。
「じゃあ、現実世界に戻ろうか?」
陽希さんが、もう一度手を取れと手を伸ばしてくれた、その光景は一瞬逆光で、凄く眩しく、神々しく感じた、おずおすとその手を取る、恋に落ちる感触がした。
追伸
広告PVとか考えると文字数少なく話数を多くって成りますけど、千文字だと深刻に短いですね・・・
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