第3話(2)告白
「赤羽成士君。私と付き合ってください。」
は?え?誰?なんで俺の名前?それにこの学校を?
いや、一旦落ち着け。とりあえずそういうことは後だ。今はそんなことよりもこの子の気持ちに応えるのが最優先だろ!
俺は平静を装い、いつもの質問をする。
「俺のことが好きなら好きなところあげてみろよ」
「好きなところ・・・ですか?かっこいい顔とか、普段はツンツンしてるのに根は優しい所とか。」
「他は?悪いけど俺の事をそれだけで判断するやつと俺は付き合えない。」
「・・・・・・」
「無いなら帰るから。」
この時初めて謙がいないことに気づいた。あいつは今まで約束を破ったことはなかった。なんだ?何があった?
俺の中に次々とモヤが生まれる。質問が質問となり俺に積み重なる。おかしい。このままではこの子のペースになる!
自分の中で整理がつかなくなった俺はその場を強引にでも立ち去ろうとした。が、
「他・・・ですか?」
無視して帰ろうとしたが、後ろから物音がしたので振り向くと、そこには何かしらのノートを読む女の姿があった。
「毎朝8時5分からの食事を欠かさないこと。毎夜30分筋トレをして、その後のシャワーできっちりケアしてるところ。通学路を帰るパターンが4種類で一日ごとに変えてるところ。今から3時間と6分前にも転んでた生徒を助けてた所・・・」
そのノートを1ページめくって彼女はこういう。
「これが3冊あるので持って帰って読んでみてください。私の愛はきっと伝わりますから。」
は?え?なんだよ??なんだよこの子!?
初対面でこんなこと言ってくる変人だ。こういう時は通報なのか?携帯を取り出そうとしようとすると俺の中でもう1人の俺がいることに気づく。
それは、俺に対する愛が俺以上にあるかもしれない。そう思っただけで少し高ぶってる自分がいた。こんなことおかしいとも思うが事実なのである。自分のことが一番好きな俺としてはこの子と相性いいのかもしれない。
そのノートとやらを預かるとその子はすぐに去っていった。その直後、何事も無かったかのように謙が来た。
「わりぃ、わりぃ。部活の片付けで顧問に呼び出されてな。」
「そうだったのか。お疲れ様。」
その時の俺は馬鹿みたいに恐怖と興奮の2種類で心臓が破裂寸前の爆発みたいにバクバクしていた。まだ、彼女の何にも気づかず・・・
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あぁ、神様。照美を俺と引き合わせてくれたこと。今となっては不幸とも幸運とも言えるなぁ。不幸の後には幸運が。幸運の後には不幸が、か。
「もう、半年も前の話か・・・」
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