俺の事が好きなら好きなところあげてみろよ

あおぶた

プロローグ

ナルシストでは無いが俺は俺が好きだ。決して裏切られることも忘れ去られることもないから。だからいつもの通り告白してこようともこう言い返す。


「俺の事が好きなら好きなところあげてみろよ」


いつもならこの後3分もあれば話は済む。だが、この女は違った。


「好きなところ・・・ですか?かっこいい顔とか、普段はツンツンしてるのに根は優しい所とか。」

「他は?悪いけど俺の事をそれだけで判断するやつと俺は付き合えない。」

「・・・・・・」

「無いなら帰るから。」


カバンを持ち家へ帰ろうとしたところ、夕日に染まる空の下で彼女は俯きつつこう言い放つ。


「他・・・ですか?」


無視して帰ろうとしたが、後ろから物音がしたので振り向くと、そこには何かしらのノートを読む女の姿があった。


「毎朝8時5分からの食事を欠かさないこと。毎夜30分筋トレをして、その後のシャワーできっちりケアしてるところ。通学路を帰るパターンが4種類で一日ごとに変えてるところ。今から3時間と6分前にも転んでた生徒を助けてた所・・・」


そのノートを1ページめくって彼女はこういう。


「これが3冊あるので持って帰って読んでみてください。私の愛はきっと伝わりますから。」


これが俺、赤羽成士と八舞照美の出会いであり、これが後の俺に訪れる悲劇の始まりである。

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