第30話

 領地に戻ってきた俺は自室で今の領地の状況についてまとめ直すことにした。



 まずは現在の領地レベル。


【領地称号】 弱小領地

【領地レベル】 3(1/16)[庭レベル]

『戦力』 4(1/25)

『農業』 3(6/20)

『商業』 3(6/20)

『工業』 7(14/40)



 まだ弱小の域をでないものの、ずいぶんと能力を強化することができた。

 それと今回は新しいことがわかった。



 新しい施設を作ると俺自身が作れる物も増えていく。

 『辺境領主』の効果の一つなのだろうが、領地内で作れる物は俺も作れる……ということなのだろう。


 ただ、今のところ、作れる物のほとんどが見たことのあるものばかりだった。


 これはおそらく『工業』のレベルに関係するのだろう。

 もっとレベルを上げれば知らない物作も作れるようになっていく。



 そして、この『工業』の開拓度を上昇させるにはひたすら物を作ればよかった。



 E級品質の物を作れば[一]上昇する。

 D級品質の物を作れば[二]上昇する。



 今作れるのはここまでだが、おそらく更に上の物が作れるようになると上昇速度は更に増えていくだろう。


 それにこの領地に採取の達人たるクルシュがいる。

 当面は開拓度レベルを上げるために『工業』スキルを上げていくことになる。


 それと、今のところは俺しか作っていないが、おそらく新しくできた施設で他の人が何かを作ってもこの数値も上昇するだろう。

 これはアルバンが畑を作ったときに『農業』スキルが上昇したのと同じ……と考えられる。


 ただ、この領地にはまだ鍛冶系のスキルを持っている人間はいない。

 今のところ試しようがないので、あくまでも推察の域をでないが。





 次に畑だ。

 これはD級の魔石が手に入らないので、今は上げることができない。

 ある程度エーファの力が戻ったら、周囲の魔物を狩っていっても良いかもしれない。


 それにどんな魔物がどの魔石を持っているかは調べておく必要があるからな。

 今のところわかっているのはこれだけだった。



 スライム、ウルフ、ゴブリン→E級魔石

 オーク→C級魔石



 E級の魔石はスライムの森にいる魔物から手に入れることができるが、オークはまだ領地レベルを上げるときのボスとしてしか見たことがない。


 生息地を調べて、魔石を集められる状態にしておくのは開拓度を上げるのに必要だ。


 ただ、それとは別に『農業』のレベルを上げる方法が見つかった。

 これはアルバンのお手柄だ。


 実際に領地内に畑を自分の手で作れば良いだけだった。


 ただ、これにも落とし穴がある。


 あくまでも『領地内』に畑を作らないといけない。

 既に俺の領地はほとんど空きがない状態なので、次に領地レベルを上げて領地を増やすまでは畑を作ることはできないだろう。



【名前】 荒れた畑

【開拓度】 2(0/10)[農業]

【必要素材】 D級魔石(0/3)

【状況】 キュウリ(0/7)トマト(0/7)キャベツ(0/7)ニンジン(0/4)



 今はこの状態の畑が二つある状況だ。

 まぁ、採れる野菜の量的には全く問題ないので、今のところ無理に上げる必要はなかった。



 次に『戦力』。

 これは主に領地内にある建物や領民のことを指すのだろう。


 特に面白いのはこの戦力レベルが現在四で今この領地にいるのが、クルシュ、ラーレ、アルバン、エーファの四人。


 もしかすると、この『戦力』レベルは領民にできる最大人数を表しているのかも知れない。

 確かにクルシュとラーレの時は二だった。

 アルバンの時は確認していなかったが、エーファの時は四。


 これを確認する方法は次に五になったときに誰かが仲間になるか、それを調べたら良いだけだ。

 ただ、これは逆のことも言える。


 今俺の領地に誘える人数は最大で四人。

 これ以上は今のままだと誰も来てくれない。


 領地を広げていく上では人手はいくらあっても足りない。

 この数字は無理をしてでも上げていく必要があるだろう。



 また、領地に来てくれる人の能力は特に決まっているわけではないのだろう。

 いきなりSランク級の人が来る可能性もあればずっとEランクの人しか来ない可能性もある。


 ただ、ランクが高い人ほどいくつかの条件を満たさないと仲間になってくれない。

 Dランクであるラーレの場合だったら、Sランク級の薬を作る約束。

 Cランクであるアルバンの場合だったら、Sランク級の神聖武器の所持。


 これがBランクとかAランクになってくると実際にSランク級のものを渡す必要が出てきそうだな。


 そして、Sランク級のエーファ。


 彼女の場合は命を救うことと能力値最低のEランクになることが仲間になる条件だったのだろうと予測できる。


 実質Eランク扱い……と思っておいて良いか。


 そこまで考えるとあまり高ランクの人ばかり来てしまう……というのも考え物かも知れない。


 そして、『戦力』を上げる方法は建物の強化なのだが、これも上げるのに手間取っている。



【名前】 木造の家

【開拓度】 3 (0/20)[戦力]

【必要材料】 C級木材(0/5)

【能力】 『盗難防止』1(0/1000)家に入れられたものは盗むことができなくなる。[家の鍵を閉めたとき限定]

『冷蔵庫』1(3/1000)物を冷やすことのできる収納がある。

『水回り』2(246/2000)風呂、便所、水道が使用できるようになる。

【状況】 

新築の家。



 これが今俺たちが住んでいる家なのだが、次に必要な素材がC級木材だった。

 今俺たちが採取できるのはD級までなので、これもどこに落ちているのか調べるところから始めないといけない。


 もしくは新しく家を建てていくか……。

 でも、日がかかる。一軒建てるのに一月以上……。


 さすがにすぐに『戦力』を上げることはできないだろう。

 ちょっとずつ、時間を掛けていくしかない。




 最後に『商業』。

 今までの効果を考える限りだとこれを上げると買える商品の品数が増えるはず。

 ただ、俺たちが物を買おうとしたら行商に来てくれるビーンに頼むより他なかった。


 欲しいものがあれば直接頼むし、今のところビーンには物を売るのと求人を出してもらう方がメインで購入するのはほとんどなく、実感が一番少ない項目だろう。


 数字を上げるには物を売り買いすれば良い。

 おそらくそれだけではなく、領地に商店とかができれば、それでも上昇するだろう。


 そして、今一番効果が実感しにくい項目でもある。



 おそらく鍛冶スキルと同様で、新しい施設を作ったときに何らかの効果が発揮されるのだろう。



 つまり、今することは鍛冶スキルを鍛えつつ、エーファの特訓だな。

 あとは、クルシュには木材集めを。アルバンには建築を進めてもらって、ラーレは……俺たちの特訓に付き合ってもらうか。



 方針を決めるとぼんやりとピコハンを眺める。


 神聖武器……か。

 一体どんな効果を発揮するのだろうな……。


 世の中の困難を払う……。

 パッと印象に浮かぶのは魔王を倒す聖剣とかだ。


 しかし、ピコハンを持って魔王と向かい合う姿は想像したくない。

 俺は領主なのだから、この領地の発展をまず第一に考えるべきだな。



「まぁ、これに関しては今のところ考えても仕方ないな。Sランクの魔石なんてそうそう集めることができないだろうし」



 あとは俺も含めて、全員の能力値上昇も考えていかないとな。

 その辺りがどう成長していくかはまだ情報が少ないわけだし。

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